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五輪直前インタビューVol.1石川晴菜(木島病院)



Q 2017/18シーズンは4年に1度のオリンピック・シーズン。どのようなことを考えてこの冬の開幕を迎えましたか? 石川 去年初めてワールドカップに出たんですけど、ゴールはしたものの結果はまったく不本意で、世界はこんなに厳しいんだということを痛感しました。ですから今年は出るからには最初から30位以内を目指そうと、セルデンのGS開幕戦に出場しました。でも、去年同様に2本目に残ることができなかった。数字の上では大きな進歩はなかったわけです。率直に言って危機感を持たざるを得ませんでした。 Q レーサーの成長というのは、新しい壁に挑んでは打ちのめされ、またそれを糧に挑んでははね返され、という繰り返しだと思うのですが、その危機感をどのように受け止めましたか? 石川 セルデンの後はいろいろ考え、コーチとも相談して、今年はワールドカップではなくファーイースト・カップを回る選択をしました。でもそこでもやはり勝てなかった。自分なりにいろいろ考えながら戦ったんですけど、なかなかうまくは行きませんでした。 Q そんなとき、結果をうまく自分の中で消化できましたか? 石川 気持ちが落ちることはなかったけれど、コーチ無しでひとりという状況の中で、どうしたら世界の滑りに追いつけるんだろうって、すごく悩みました。 Q ひとりだったのですか? 石川 ファーイースト・カップの時は、TOTOチーム(荒井美桜、富井雪奈が所属する全日本のジュニアチーム)と一緒に動いていました。スタッフや選手たちにはとても良くしてもらったんですけれど、実際には違うチームなので、やはり難しい部分はありましたね。ヨーロッパにいるコーチに動画を送ってアドバイスを貰ったりしましたけど、現場にいないと伝わらないニュアンスとかもあるので、難しかったです。そこはすごく悩みました。 Q そうだったんですか。それが12月のことですよね。年末には五輪出場権がかかった全日本選手権があったわけですけど、そこに向かってどのように準備したのですか? 石川 自分の滑りを見失うほど混乱したわけではなかったし、調子自体は悪くなかったので、自分の力を発揮できれば大丈夫だという気持ちだけは持ち続けました。 Q 全日本選手権への準備は国内で? 石川 そうですね。大会の1週間前に阿寒に入って、日本チームとしてトレーニングをしました。 Q そういうときって、けっこう選手間でバチバチ火花が飛んだりするんですか? 石川 いやそうでもないですよ(笑)。いつもどおりです。すべては自分次第だなって思って。 Q でも精神的には、全日本はかなり切羽詰った状況で迎えた? 石川 そうですね。 Q そんな状況だったのにもかかわらず、全日本選手権のときの滑りは本当に良かったですね。何というかな、レースっぷりが良かったと感じました。 石川 ありがとうございます。

全日本選手権のジャイアント・スラロームでの滑り

優勝インタビューで喜びを語る


Q どんな気持ちでスタートしたのですか 石川 あのときは、回りからも全然期待されていなかったと思うんですけど、だから気軽に、少し狂ったくらい? に思い切って行こうと思いました。 Q 1本目でトップに立ちましたが、2位の安藤麻選手とのタイム差は0秒43。わずかなミスですぐに逆転されてもおかしくない微妙な差でしたね。2本目は相当の重圧がかかったと思いますが、そこをどういうふうに乗り切ったのでしょう? 石川 2本目はすっごく緊張しました。1本目トップという状況は、今まであまり経験したことがなかったからです。でもサロモンチームのスタッフが励ましてくれて「お前は2本目のタイムはいつもいいし、滑りもちゃんと身体が動けているんだから絶対に大丈夫だ」って。それでだいぶ気持ちが楽になって、他の選手のことを意識しないで滑れました。 Q 全日本に勝つとしたらGSだと思っていましたか? 石川 そうですね。GSに賭けていました。トレーニングも今年はやはりGSに比重を置いていたので。




菅平で行なわれた事前トレーニングでの滑り


Q 石川選手は石川県金沢市の出身。これまで金沢から五輪選手は生まれているんですか? 石川 アルペンスキーではいないと思います。 Q 石川県はけっして強くないわけではないけれど、北海道や長野県、新潟県等に比べれば、あまり目立った県ではありませんでしたね。 石川 そうですね。 Q でも今は男子で小山陽平選手(日本体育大学)もナショナルチームで活躍していますし、これから石川のアルペンが注目されるといいですね。 石川 ええ、そうなるように頑張りたいと思います。 Q オリンピックの女子GSは2月12日ですね。あと1週間後になりますが、これからの1週間をどう過ごしますか 石川 特別なことはしないで、いつもどおりにやるべきことをしっかりやっていこうと思っています。 Q コースについてのイメージは? 石川 ファーイースト・カップで何度も滑っているので、よく分かっています。もともとは幅の狭いコースでしたけれど、だいぶ広がりました。ただ五輪ではコースに人工的なウェーブを作るということを聞いています。 Q ウェーブってけっこうやっかいじゃないですか? 石川 そうですね。タイミングが合えばうまく加速できるし、合わないと大きくロスしてしまう。そこはしっかりイメージして行きたいと思います。


3日間に渡った事前トレーニングで調子を仕上げ、平昌に向かった

Q 石川選手とこうやって話していると、とってもほんわかした優しい雰囲気が伝わってくるんですけど、いざコースに出ると、けっこう男っぽいというか、迫力がある滑りをしますよね。 石川 えー、そうですか? Q 写真を撮っていてそう思います。今日は天気も良かったしきれいで迫力ある写真が撮れたので、よかったら使って下さい。それでまたスポンサーをがっつり獲得して(笑)。 石川 ありがとうございます。 Q スポンサーといえば、ヘルメットにロゴマークにある木島病院からはどういう経緯でスポンサードを受けるようになったのですか。 石川 もともと石川県スキー連盟に寄付をしてくださったり、国体等の帯同ドクターを派遣してくださったりしていた病院なんです。前の所属先をやめて無職になっていたときに、声をかけていただいて。 Q あのヘルメットはけっこう目立つし、効果あると思いますよ。どんな病院なんだろうとか、あれ、ひょっとして看護師さんでもやっているのかと(笑) 石川 あはは。 Q 本番まで1週間。来てしまえばあっという間だと思うけど、オリンピックでは悔いのないレースをしてくださいね。 石川 ありがとうございます。精一杯頑張ってきます。



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