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男子スーパーG最終戦(2016年2月14日 湯沢・苗場/新潟県)

ノイロイター逆転優勝

ミューラー0.05秒差で2位、新鋭シュヴァルツ3位

 

前夜遅くから降り始めた雨は、午前9時過ぎにはすっかりあがった。のみならず、レースが始まる午前10時には太陽も顔を出し、第1シードの15人は、雲間 から差し込む光の中で滑るという奇跡のような好条件。高い気温に雪は緩んだが、インスペクション前に大量の水を撒いて固めたコースは、よく持ちこたえた。 天候を考えれば、文句のつけようのないコンデイションでレースは行なわれたといえるだろう。

大きなミスもあったが、激しいアタックで2位入賞のアレクサンダー・オーモット・キルデ。初の種目別チャンピオンに輝いた

前日のGS同様、1本目のベストタイムをマークしたフリッツ・ドプファー。しかし、またしても2本目で失速し、4位に後退

 

1本目、フリッツ・ドプファー(ドイツ)が1番スタートというアドバンテージをフルに生かし、3人の前走が滑っただけのきれいなコースを、きわめてスムーズな滑りでカバー。53秒41というタイムを設定した。次に滑ったマティアス・ハルギン(スウェーデン)に100分の2秒差に迫られたものの、その他に彼を脅かす選手はおらず、結局最後までドプファ―のタイムがベストタイムに残り続けた。3位にはアンドレ・ミューラー(スウェーデン)が0秒22差で続き、注目のヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)は、0秒79差の8位タイと予想外に振るわなかった。もう一人の優勝候補マルセル・ヒルシャー (オーストリア)は、4旗門目をまたぎ、早々にレースを終えてしまった。日本選手は、6人が出場。35番めに滑った湯浅直樹(スポーツアルペンSC)は3秒37遅れの34位になったのが最高。前日のジャイアント・スラローム同様、誰も2本目に進むことができなかった。

10年ぶりのホームレース。上位進出を狙った湯浅直樹だが、1本目でレースを終えた

 

午後1時から始まった2本目は、ふたたび空模様が怪しくなり、途中から雨が降り始めた。煙るような霧雨で、視界もきかない。もっとも問題となったのは、水滴の付いたポールを叩くたびに水飛沫が飛び散り、それがゴーグルに付着してさらに視界を奪ったことだ。とくに1本目8位のクリストッファーセンが滑る頃に は雨も激しくなり、以降に滑る選手たちを苦しめた。視界がぼやけるため思うようなラインを滑れず、タイムもさっぱり伸びないのだ。明らかに状況は悪化していた。ゴールしたクリストッファーセンは、珍しく感情を爆発させた。悔しさをぶちまけ、エアマットに蹴りを一発。つねに紳士的な態度を崩さないクリストッファー センだが、少年時代のアダ名は『Wild Child』。野性的で、手のつけられないやんちゃ坊主という意味で、もともとはかなり気性の荒いタイプのようだ。逆転を狙った2本目にも関わらず、視界が効かずにアタックできなかった鬱憤をどこにぶつければいいか、悔しさを持て余しているような様子。苛立った表情でコースを見上げていたのが印象的だった。

 

急に強くなった雨に視界を奪われた2本目のクリストッファーセン。ゴールエリアでは珍しく冷静さを失っていた

 

この時点でトップに立っていたのは、クリストッファーセンと同じ21歳の新鋭、マルコ・シュヴァルツ(オーストリア)。今季のスラローム第2戦、マドンナ・ディ・カンピリオで初めて表彰台に(3位)と立って注目を浴びた選手だ。1本目は12位(+0.99)。あまり重圧を感じない気楽な立場からのびのびと滑って好タイムを記録した。その後。1本目上位の実力者たちが、なかなか彼の合計タイムを抜くことができず、シュヴァルツの順位はどんどんと上がっていった。ひょっとしたらそのままシュヴァルツのワールドカップ初優勝かとも思われたが、しかし、1本目5位につけていたフェリックス・ノイロイター(ドイ ツ)がそんな流れを断ち切った。相変わらず見通しの効かない視界のなか、彼はお構いなしに激しくアタックした。第2中間計時では、シュヴァルツに負けていたが、終盤の強烈な巻き返しで0秒24差を奪い返してベストタイムのゴール。後続の選手は誰も彼を抜くことができず、ノイロイターの通算12回目のワールドカップ優勝が決まった。

マルコ・シュヴァルツは今季2度めの3位表彰台。1本目の12位から2本目で大きく順位を上げた

1本目は5位につけていたフェリックス・ノイロイターが逆転優勝。ワールドカップ通算12勝目を記録した

 

「昨日、アメリカにいる父にフェイスタイム(インターネットを利用したテレビ電話)で話をした。ホテルの部屋やコースを映して見せたら、彼は『40年前と あんまりかわっていないな』と笑っていた」とノイロイター。

父とは往年の名選手クリスチャン・ノイロイターのことで、1973年の苗場大会でスラローム2 位、2年後の75年大会でも同じく3位に入賞している。

「かつて父が活躍した大会で表彰台に上がるのは、やはり格別に嬉しい。今年は、持病の腰痛に苦しんできたが、シュラドミングのナイトレースの頃から少し ずつ調子が上向いてきていたので、ここで良い結果を出す自信はあった。苗場には約1周間滞在したが、本当に楽しかった。一晩で新雪が1m降った時にはびっくりしたが、翌日は最高のパウダーを楽しめた。その後気温が上がり、今日は雨と風。そんな厳しい気象条件のなかで最高のコースを作り上げてくれた組織委員会には本当に感謝しているし、われわれ選手たちを温かく迎えてくれた日本のファンにも心からありがとうと言いたい」と喜びと感謝の気持ちを語った。

 

1本目は5位につけていたフェリックス・ノイロイターが逆転優勝。ワールドカップ通算12勝目を記録した

わずかに及ばず2位にとどまったが、アンドレ・ミューラーとっては久しぶりの表彰台となった

 

2位のアンドレ・ミューラー(スウェーデン)は、わずか100分の5秒差で優勝を逃した。勝っていれば2012年11月以来の優勝だったが、表彰台に立ったのも約2年ぶりのことである。

「タフなレースだった。2本目はゴーグルに水滴がついて視界が悪く、コース状況が非常に見にくかった。今シーズンはここまで苦しい戦いだったが、久々に表 彰台に上れたことはとても嬉しい」と語ったミューラー。2011/12シーズンにはスラロームの種目別チャンピオンにもなった彼だが、その後は怪我もあり不本意なシーズンが続いていた。今季はアルタ・バディアのパラレルGSで3位になったが、通常のレースでの3位以内入賞は2013/14シーズンのアデル ボーデン以来である。

3位のマルコ・シュヴァルツは、

「1本目は12位だったので、2本目は思い切り行こうと自分を奮い立たせた。どちらかと言えば緩斜面が好きなので、苗場のコースは僕に合っていると思う」とレースを分析。1本目で消えたエース、マルセル・ヒルシャーの穴を埋めて余りある活躍だった。