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須貝龍(チームクレブ)

ワールドカップのこと・シュトライフのこと

去る7月1日、東京渋谷にあるレッドブル本社内にあるイベントスペースRedBull Studio Tokyoで、

映画『シュトライフ』(原題:Streif - One Hell of a Ride)のプライベート上映会が行なわれました。

イベントの詳細はこちらでレポートしてありますが、

ゲスト・スキーヤーのひとりとして、

ナショナルチームOBの往年の名選手(千葉信哉・杵渕隆・木村公宣・佐々木明)たちとともに

トークショーを行なったのが、現役のアルペンレーサー、須貝龍選手(チームクレブ)。

昨シーズン、日本人として初めてキッツビュールのスーパーGに出場した彼に、

映画『シュトライフ』のこと、ワールドカップのことなど

興味深い話題を語ってもらいました。

 

 

Q この映画を見るのは2回めだとか?
A そうです。最初は今年の1月、オーストリアにある僕のアパートで見ました。テレビでやっていたんです。食事をしながら、割りと気楽な感じで見ていたかな。

 

Q やばいなとは思いませんでした?
A そのときは思わなかった。まだ本当に自分が出るとは決めていなかったから、現実味はそれほどなかった。というのも、コーチからずうっと反対されていたんです。キッツビュールはまだお前には危なすぎるといって。

Q コーチというのは?
A もう5年くらい一緒にやっているオーストリア人。現在はリヒテンシュタインのナショナルチームのコーチをしています。その彼から絶対にやめとけ、とけっこう強硬に反対されていたけれど、僕は僕で絶対に出ると言い張っていた。

Q 最終的には押し切った?
A そんな感じですね。「わかった、じゃあ実際にインスペクションをしてみて、大丈夫だと思ったら出るよ」と。ですから出るか出ないか、まだはっきり決めないまま、キッツビュールに行ったんです。


 

Q 初めて立ったシュトライフ(ダウンヒルコースの名前)の印象は?
A やはり難しそうだなと思ったんですけど、スーパーGなら途中からスタートだし大丈夫、行けると判断しました。スーパーGの前日にダウンヒルのトレーニングランがあって、そのためのインスペクションをした時点で、スーパーGに出ることを決めました。

Q キッツビュールのスーパーGって、平均スピードを見てみると数字上はダウンヒルよりもスーパーGの方が速いでしょ?

A そうなんですよ。なぜなんですかね?

Q そんなはずはないだろうと思うんだけど、でも毎年毎年公式リザルトを見てみると、そう書いてある。考えられるのは、ダウンヒルの前半が急斜面で、ターンが多いので、スピード自体はそれほど速くないということなんだろうか。

A そうとしか考えられないですよね。スタートからしばらくはすごい急斜面なんだけど、かなりターン弧がきつい。そこを抜けると平らなところも長いじゃないですか。廊下に入ってからも。そこのスピードをトータルすると、途中からスタートするスーパーGの平均スピードの方が速くなる、ということなんでしょうね。


Q 今年は雪は硬かったですか?

A スタートして、右ターン左ターン、そして3番目にスルーゲートがあってウェーブを落ちて、ダウンヒルと合流。日の当たり方で、3旗門目のスルーゲートはだいぶ日が当たったんで、僕が滑る頃にはボコボコでした。その後、廊下に入っていくところは逆にツルンツルン。ハウスベルクのジャンプを出てからも硬かったですね。

Q。ハウスベルクから下は、コース設定がほとんどダウンヒルと変わらないでしょ?

A 変わらないですね。

Q やはり難しい?

A 片斜面でトラバースする部分があるんですけど、雪面が波打っていてハード。あそこはすごかったですね。ラインをキープするのに精一杯。みんなそうだと思うんですけど、あそこでのタイム差は意外につかない。ただ耐えるだけ。

Q いったんラインが落とされたら、もう上れないでしょ?

A 戻ってこれないです。無理。だからジャンプでなるべく高いラインで落ちてから、ラインが下がらないように行くだけ、という感じ。聞いてはいたけど、あそこは本当に「行くだけ」なんですね。実際に滑ってみてもそうでした。

Q そして無事ゴールした。この映画でもゴールした時の安堵について、いろいろな選手が語っているけれど。

A ダウンヒルではなくスーパーGだったせいか、僕自身はあまり感じなかった。コースに対してキッツビュールのコースを滑りきったという達成感はありましたけど。でも、もしキッツビュールというブランドに対する意識がなければ、そうは思わなかったかもしれない。

Q 翌日のダウンヒルは見ました?

A 見ました。最初スタートのところで見て、その後コース脇を下りて下でも見た。インスペクションして思ったけど、最初のジャンプ、マウスファーレはやはり恐怖感がありますね。

Q スタートハウスに立ったときに、マウスファーレの入口が見えますからね。

A あの圧迫感はすごかったです。

Q 来年はダウンヒルにも出たいという気持ちは?

A もちろんあります。インスペクションしているときに「ここを来年滑るんだ」と思いながら降りて行った。そのためには、あらゆることの準備が必要だなと思いました。

Q じゃあもうコースのイメージは頭のなかにある?

A はい、その後もビデオで見ているんですけど、でもビデオで見るのと実際とではぜんぜん違う。

Q シュトライフには難所がたくさんあるけれど、どこが一番ポイントになりそうですか?

A スタートして30秒くらいの廊下に入るところ。急斜面を下りてきて、アウト側が下がった逆斜面をターンしながら緩斜面に入っていくんですけど、ビデオで見ていても、スピードに乗っている選手とそうでない選手との差が一番激しい。上は多少失敗しても、緩斜面に入る最後のターンのつなぎがうまくいくどうか。それが大きく影響するでしょうね。

Q 今年は3人クラッシュして、そのうちふたりが靭帯を切るという大荒れのレースでした。

A あの状況は確かにむずかしかった。視界が悪かったのと、ちょうどターンに入ろうとするところにこぶがあったことが問題だった。そこにひっかかって転倒したのだと思います。でも、選手として、なんというか怪我はもうどうしようもないですからね。するときはする、しないときはしない。そのための準備はもちろんしていくんだけど。スタートしてしまえば、もうそんなことは言っていられない。それはどんなレースでも同じです。

Q 来シーズンのワールドカップは、どこのレースに出るか決めていますか?

A できればアメリカシリーズに行きたいですね。レイクルイーズとビーヴァー・クリーク。両方出てみたいです。ただ、来年どうやって活動するか、どこのチームにお世話になるかによって、動き方が変わってくる。まだ詳しくは決まっていないけど、最初から世界選手権まではワールドカップに出て、その時点でどの程度の成績が出ているかによって判断したい。基本的にはワールドカップを中心にレースを回りたい。


 

Q 用具面の準備は?

A 専任のサービスマンをお願いしたいけれど、費用面、人材面でなかなか難しい。ですからどこかのナショナルチームと一緒に練習させてもらって、そこのサービスマンにお願いできないかなと思っていて、今話を進めているところです。それがうまく行けば大きな力になると思う。マテリアルの面ではアトミックと相談しながら、だいぶ良くしてもらっているので大丈夫です。

Q 去年の実績で状況は変わった?

A 僕自身は、そんなに成績が良かったシーズンではないと思っています。でもワールドカップに出たことで、意外に周りの人たちは評価してくれているようで、本当にありがたいです。

Q コンビ(アルペン・コンバインド)は
A やります。

Q ということは、スラロームも?
A もちろん、やります。

Q 残念ながらスラロームで失敗してしまったけど、今年のキッツビュールのコンビはチャンスでしたね。スーパーGが33位のタイム。スラロームでは、コースアウトした選手が多かったので、まともにゴールすればポイント圏内には入賞できたと思う。

A でもランキングで30番に入るのが目標だったので、あそこでただ下りて数ポイントをとっても仕方がなかった。20位ちょっとくらいでは、ランキング30番に入れないじゃないですか。だからスタート前に、結果がどうであれ、一発狙って攻めていこうと思いました。当たればリターンは大きかったはず。あれはあれで、自分としては後悔していません。

Q 韓国で行なわれたワールドカップにも出場しましたね。

A 韓国ではさんざんでした。滑りがうまく噛み合わなかったというか。何が原因だったか未だにわからないけれど、新しいコースということで気持ちの面で少し引けていた部分があるかもしれない。いつもならしないような失敗を、いくつもしたりとか。

Q コースは難しかった?
A いや難しくはなかった。難易度としては高くなかったんですけど、その分、速いタイムを出すのは難しいコースでしたね。

Q
 オリンピックを2年後のシーズンに控えている韓国ですが、会場の建設がだいぶ遅れていたようですね。
A 今回も大変でした。朝、ホテルからコースまで行くのにバスで1時間。僕はスタート順は遅いけれど、インスペクションはみんなと一緒だから早く行かなければならない。帰りはみんなは帰っていくのに、僕は残らなければならなくて。1時間かけて帰って、ワックス塗ってコントレして、夕食食べてワックスをはがしたら、もう寝る時間になっている、オリンピックの本番までにどうなるかわかりませんが、今のままだと選手は相当苦労すると思います

Q でもコースを見ることができたのはプラス。

A もちろんです。一回滑っておくだけで、全然違う。何度もイメージしながらやっていくことでコースを攻略できますからね。オリンピック出場は大きな目標ですから、もっともっと力をつけて代表に選ばれるように頑張ります。