© 2023 by Name of Site. Proudly created with Wix.com

  • Facebook App Icon
  • Twitter App Icon
  • Google+ App Icon
男子スーパーG最終戦(2016年3月20日 サンモリッツ/スイス)

急成長キルデが初の種目別タイトルを獲得

 

女子最終戦の終了後、約20分間の短いブレイクをはさんで、男子スーパーG最終戦(第8戦)は午前11時30分に始まった。この時点で種目別ランキングのトップは、アレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー)で得点は335点。キルデと100点差以内の選手、つまり種目別優勝の可能性があるのは、ヴィンセント・クリーヒマイヤー(オーストリア)、チェティル・ヤンスルッド(ノルウェー)、アンドリュー・ヴァイブレヒト(アメリカ)、そしてカルロ・ ヤンカ(スイス)の4人。実は2位にはアクセル・ルンド・スヴィンダールがいるのだが、彼はリンジー・ヴォン同様、怪我のためにワールドカップを離れており、タイトル獲得のチャンスはない。ランキングはこんな状況だったが、得点差を考えれば、実質的にはキルデ、クリーヒマイヤー、ヤンスルッドの争いだったといってよいだろう。

 

しかし、クリーヒマイヤーは第1計時を、ベアト・フォイツがマークしたベストタイムを100分の2秒上回る好タイムで通過した直後に途中棄権。急斜面の入り口で一瞬旗門を間違えたかのような様子でリズムを乱し、その次のターンでコースアウトしてしまった。ここで同様の失敗を犯した選手は他にもおり、スーパー Gの難しさを改めて痛感させられるシーンだった。

大きなミスもあったが、激しいアタックで2位入賞のアレクサンダー・オーモット・キルデ。初の種目別チャンピオンに輝いた

 

 これで、タイトル争いはヤンスルッドとキルデ、同じノルウェー勢同士の一騎討ちとなった。先に滑ったのはヤンスルッド。第2計時まではトップだったが、その 後わずかにタイムを失い、フォイツに0秒10遅れの2位でゴール。攻撃的で、それでいて安定したベテランらしい滑りを見せ2位の80ポイントを加算。この時点ではランキング首位に出たが、何としても優勝して100点が欲しかった彼としては、納得できる結果ではなかっただろう。

 

キ ルデはその4人後にスタート。計算上はこのレースで5位になればヤンスルッドと同点優勝、4位以上で単独でのスーパーG種目別優勝が決まる。だが彼は優勝 しか眼中にないかのようなド迫力のアタックに出た。すべての中間計時でフォイツを上回るベストタイムを記録しながらゴールへと驀進。ところが50秒を過ぎたあたり、急斜面への飛び込み角度をわずかにミス。約30m飛んだ後着地した時には、本来のラインから10m近くも外側に出てしまった。男女を問わず多 くの選手が失敗したこのコース最大の難所。キルデもほとんど餌食となりかけたのだが、そこからのリカバリーは驚異的だった。

 

「あまりに一瞬のことだったから、どうやってリカバリーしたかまったく覚えていない」。レース後、キルデはこのように振り返ったが、とにかく素晴らしいとしか言いようのない完璧なリカバリーでコースに復帰。フォイツに遅れること0秒10、つまりヤンスルッドと同タイム2位に滑り込んだのだ。この瞬間、24歳の キルデが30歳の先輩を抜きスーパーGチャンピオンとなることが決定。もちろん、彼にとっては初のタイトル獲得である。

 

1位 アレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー) 415点

2位 チェティル・ヤンスルッド (ノルウェー)375点

3位 アクセル・ルンド・スヴィンダール(ノルウェー) 310点

 

 2015/16シーズンの男子スーパーGは、上位3人がすべてノルウェー選手によって占められた。種目別優勝の表彰式、クリスタル・トロフィーを受け取るために表彰台に上 がろうとしたキルデは、本来ならばスヴィンダールがいるはずの3位の場所の前に立ち、かぶっていた帽子を取り、頭を下げて一礼した。

 

「僕たちは小さなチームだが、とても強いチームだ。そしていつでも3人で互いに刺激し合いながらトレーニングを行なってきた。残念ながらアクセルは表彰式に来られなかったけれど、そこに彼がいるつもりで、感謝の気持ちを表したのだ」とキルデは語った。

 

 

種目別のタイトル争いには絡まなかったが、ベアト・フォイツは前日のダウンヒルに続き、2日連続の優勝だ。激しいアタックでミスをしながらも好タイムを叩き 出したキルデとは対照的に、ライン重視の正確な滑りが印象的だった。まったく無理をせず、いくつもの斜面変化に完璧に対応。技術的にひとつのミスもなく全 コースを滑りきった。昨夏の南米遠征でアキレス腱を負傷したため、今季のフォイツは1月半ばのウェンゲンからのワールドカップ参戦だったが、シーズンの終 盤に来て絶好調を保っている。サン・モリッツは、来シーズン行なわれる世界選手権の舞台。地元開催のビッグ・イベントでの金メダル獲得をめざす彼にとって は、最高の成績でシーズンを締めくくったわけである。

 

 

男子スーパーG最終戦 公式リザルト http://www.fis-ski.com/alpine-skiing/events-and-places/results/?season=2016&discipline&gender=all&race_id=82830&sector=AL

  • このページのカバー写真の撮影:Mitch Gunn