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女子ジャイアント・スラローム第1戦(2016年10月22日 セルデン/オーストリア)

昨シーズンの総合チャンピオン、ララ・グートが大差で開幕戦を制す

心地良く冷え込んだセルデンのレッテンバッハ氷河。GSコースは硬く締まってはいるものの、滑落者が続出した昨年のような極端なアイスバーンではなく、かと言ってすぐに荒れてしまうようなやわなコースでもない。2016/17シーズンのオープニングレースは、ほぼ完璧と言ってよい好条件のもとで行なわれた。
シーズン最初のレースにもかかわらず、セルデンのGSコースは選手に対して容赦がない。スタート地点の標高が3040mと高いうえに男女ともスタート&ゴールは同じなので、とくに女子にとっては厳しいコースといえるだろう。
スタート直後は緩斜面。いったん中斜面へと落ち込んだ後、短い緩斜面をはさんで、なが~い急斜面が続き、ここが最大の難所となる。そして斜度は次第にゆるくなり、ゴールまでの緩斜面は疲れた身体には相当きつく感じるだろう。しかも急激に左へドッグレッグ。ここでミスをしてしまうともう勝ち目はない。


 

スタート順の良さを生かして1本目から激しくアタックしたララ・グート。2位以下に大差をつけて優勝した

そんなタフなコースで圧倒的な強さを見せたのは、ララ・グート(スイス)。昨シーズンの総合チャンピオンで、2013年にはここでGSの初優勝を記録している彼女は、1本目で2位以下に大差をつけてぶっちぎった。16番スタートから2位に食い込む大健闘を見せたミカエラ・シフリンでさえ1秒42差。他の多くの第1シードレーサーたちは、あまりのタイム差にゴールでは力なく首を横に振るしかなかった。
グートは、中斜面の入口でほとんど横倒しになるほどのミス、さらに急斜面の入口でもラインがふくらんでしまったのだが、それでも他の選手とは別格の速さだった。
ゼッケン2番という恵まれたスタート順だったので、1本目でできるだけ大きなリードを取りたいというのがこの日の彼女の戦略。
2日前のインタビューで「今年は男子の技術から学び、よりパワフルに、アグレッシブに、ダイレクトに滑りたい」と語っていた通り、失敗のリスクは覚悟の上での激しいアタックだった。
2本目も同様に思い切りのよい勝負をかけ、タイム差をさらに広げて優勝。ワールドカップ通算19回めの勝利だ。
「昨日からとても緊張していた。今朝はいつもより早く起きてしまったほどだ。自分で自分に重圧をかけてしまったのだろう。でもどこにも逃げるわけには行かないので、楽しむことだけを考えて滑った。チームのみんなが助けてくれたことが大きなエネルギーとなった」と語る。
「1日の終りに、ああ今日も楽しくスキーができたと感謝することが大切」。マルセル・ヒルシャーが、チャンピオンであることの重圧に苦しむグートに贈ったアドバイスだ。
「そう、本当にそう思うわ。余計なことを考えずに、自分がやってきたことを大事にしたい」とグート。総合優勝というタイトルは、彼女を人間的にも大きくしたようだ。

今季はGSのタイトルも狙っているミカエラ・シフリン。2位で好スタートを切った

2本合計で1秒44という大差をつけられたが、ミカエラ・シフリンは2位という成績に大満足だ。
「今日の目標は表彰台に立つことだった。だから2位は私にとって充分な成績だと思う。セルデンのこのコースでは、ララが絶対的に強いから、このタイム差にも納得できる」。
昨シーズンのほとんどを膝の負傷のために欠場したシフリン。シーズン半ばで復帰しスラロームでは素晴らしい滑りで優勝したものの、GSでは精彩を欠いていた。そのため第1シードから外れ、この日は16番スタートだった。
「今年はスラロームのタイトルの奪還と、GSでもチャンピオンをめざす。総合優勝? チャンスはあると思うけど、今はスラロームとGSに集中したい」
スラロームでは絶対的な強さを持つシフリンだけに、この日のGSの滑りは、彼女の持つ大きな可能性を示すものだった。

初めてのワールドカップ表彰台を決め、全身で喜びを表すマルタ・バシーノ

グートとシフリンの活躍は、充分に予想されたものだったが、驚きだったのはマルタ・バシーノの3位入賞。まだ20歳の新鋭で、もちろんワールドカップでは初めての表彰台だ。
昨年の今頃
「期待の選手? マルタ・バシーノだ。近いうちに必ず活躍するはずだから、今のうちから注目しておいたほうがいいぞ」と言っていたのは、サロモンチームのレーシング・ディレクターのクリスチャン・フリゾン・ロッシュだ。その言葉からちょうど1年後、予言通り彼女はブレイクした。
彼女を含めGSの第1シードに5人。第2シードまで枠を広げれば8人がランクインするイタリア女子チーム。チーム内での激しい争いが、互いの技術と精神力を高めているのだと、バシーノはいう。
「1本目の3位ですっかり自信がついた。2本目のスタートでは練習通りに滑れば何も怖くないと思った」
表彰台に立った彼女は、たくましい先輩たちに比べればまだ身体つきも幼く、とくに下半身の細さは歴然としていた。
しかし初めてのワールドカップ表彰台で、初めてシャンパンを手渡されたバシーノ。隣に並ぶララ・グートとミカエラ・シフリンから「だめよ。シャンパンファイトはやらないわよ。絶対だめよ」と釘を刺されたにも関わらず、栓を抜きボトルを激しく振って、ふたりに挑みかかかった度胸は、この先彼女の武器になるのかもしれない。

公式リザルトはこちら

やめなさいよ、と釘を刺すララ・グート。不敵な笑みを浮かべながらシャンパンのコルクを抜くバシーノ

無邪気にシャンパンを振りまく。この後逃げるララ・グートとミカエラ・シフリンを追いかけ回した