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男子ジャイアント・スラローム第1戦(2016年10月23日 セルデン/オーストリア)

パントュロー完璧な勝利。ヒルシャー2位で不安を払拭

女子GS第1戦に引き続き、好条件に恵まれた男子のオープニングゲーム。照りつける陽光、90人という大量エントリーにもかかわらず、コースは最後まで硬さを保ち、公平でとてもエキサイティングな戦いを演出した。
数日前にレポートした通り、新聞では調整の遅れが指摘されていたマルセル・ヒルシャー(オーストリア)。https://goo.gl/js4bdX チーム内のタイムレースではほとんど勝てず「今回は15位以内に入れないだろう」と弱気な発言をしたという。ファンは大いに心配し、今シーズンのルシャーが挑むワールドカップ総合6連覇という大記録の達成にいきなり黃信号が灯ったのではないかと気を揉んだ。
だが、いざふたを開けてみると、そんな心配は全くの杞憂だったことが明らかになった。
1本目3番でスタートしたヒルシャーは、いつも通りの正確で攻撃的な滑りで全コースをカバー。ゴールした時点では、圧倒的なタイムを記録し大観衆を沸かせた。ふたり後に滑ったアレクシー・パントュロー(フランス)がそのタイムを0秒17差で更新してトップに立ったが、ヒルシャーを上回ったのはそのアレクシー・パントュローだけだった。

 

1本目からアクセル全開のマルセル・ヒルシャー。調整不足はまったく感じさせなかった

2本目、ヒルシャーの滑りはさらに加速した。逆転をめざして前半からアタックをかけ、区間計時ではそれまでのベストタイムをすべて更新しながら快走。急斜面の入り口、わずかにラインが詰まった左ターンで外足が流され、横倒しに転倒。瞬時に体勢を戻したが、ひやっとさせる場面だった。彼にとって幸運だったが、致命傷になりかねないこの失敗が、このコースでもっとも斜度が急な場所で起こったこと、そして、その後も急斜面が延々と続いたことだろう。ヒルシャーはけっして焦らず、いったんは失ったスピードをコース後半にかけて着実に挽回。ゴールした時点ではそれまでトップに立っていたフェリックス・ノイロイター(ドイツ)に0秒67差をつけて、首位の座を奪い取った。
最終的にはアレクシー・パントュローに抜かれて2位に下がったが、ヒルシャーにとっては嬉しい2位だ。
「ここ数日は、肩の上にずっしりと重圧を感じていた。レースは大好きだが、そんなプレッシャーは大嫌いなんだ(笑)。とにかく良い形でシーズンのスタートを切ることができてとても嬉しい」
調整遅れの不安のなか、表彰台に立てた要因についてはこう語った。
「二日前になって、ようやく納得できるセットアップが決まったこと。悩んでいたことが解決できたのは大きな自信となった。それともうひとつ大きな要素は、僕は“Training Guy”ではないということ(トレーニングのときには強いが、本番で力を発揮できないアスリートを指す言葉)だ。シーズンが始まっていきなりスイッチが入った。そのために僕を盛り上がてくれたチームのみんなに感謝したい」
総合5連覇を達成した昨シーズンは、セルデンのGSを3位でスタートしたヒルシャー。2位というこの日の成績は、今季の彼にとって大きな自信を与えてくれるだろう。

2本ともベストタイムのパーフェクトな勝利。滑りに完成度がさらに高まった印象だ

だが、そんなヒルシャーでさえ、この日のアレクシー・パントュローには歯が立たなかった。大観衆のほとんどが、地元の英雄ヒルシャーの勝利を願うという難しい状況の中、スタートからゴールまでほとんどミスのない滑りで、1本目、2本目ともにベストタイムの完璧な勝利。これで昨シーズンの苗場湯沢大会以来、GSでは7レース連続の表彰台に立ったことになり、しかもそのうち5レースが優勝で2位が2回。つまり3位にさえ下がったことがないのだ。
「シーズン最初のレースでは、果たして自分が速いのかそうではないのかわからないので、戦略も何もなく、とにかく全力で滑り自分をプッシュした」と語ったパントュロー。これでワールドカップの通算勝利数は16となった。フランス選手で、史上もっと多く勝ったジャン・クロード・キリーの18勝という記録に近づいたわけだ。
「もちろんジャン・クロードは我々フランス人にとって大きな誇りだが、偉大なレーサーは他にもたくさんいる。記録のことは問題ではなく、ただひとつでも多くのレースに勝てるよう頑張るだけだ」
昨シーズンは、わずかの差でジャイアント・スラロームの種目別タイトルを取り逃がしているだけに、この種目にかける意気込みはすさまじい。上半身がさらにたくましくなり、滑りには力強さが増した。スーパーG、スーパー・コンバインドでの力を考えれば、ヒルシャーの総合6連覇を阻む強力なライバルとなるだろう。

GSでの本来の滑りを取り戻し、好スタートを切ったフェリックス・ノイロイター

3位に入ったフェリックス・ノイロイターにとっても、大きな意味のあるレースだった。長く保っていたGSのトップ7の位置から転落し、この日は9番スタート。やや自信を失いかけていただけに、価値ある3位となった。
「昨シーズンはGSで苦しんでいたので、表彰台に上れたのは最高のシーズンスタートだ。2本とも大きなミスもなく安定した滑りだったと思う。アレクシーやマルセルにはまだ遠く及ばないが、これからの数週間で、その差を埋めていきたい」
つねに悩まされ続けた腰痛も、今のところ問題はなく、今年の夏は良いトレーニングができたという。急斜面が得意な彼としては珍しく、この日は緩斜面での速さが目立ったが、それも体調の良さを物語っているといえるだろう。

このところ精彩を欠いていたスロヴェニア男子だが、ジャン・クラニエツの台頭は久々の明るいニュース

表彰台には僅かに届かなかったものの、4位に食い込んだZan KRANJEC(スロヴェニア)の健闘も光った。読み方の難しい名前だが、スロヴェニアの名物記者に確認したところ、発音はジャン・クラニエツ。ジュニア世界選手権で3つの銅メダルを獲得し、ワールドカップ4年目の今シーズン、急成長の雰囲気を漂わせる。今後注目すべき選手のひとりだ。

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