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女子ジャイアント・スラローム第3戦(2016年12月10日 セストリエール/イタリア)

テッサ・ウォーレーGS2連勝。イタリアの新星ゴッジャが2位で続く

山を渡る風はいくぶん生暖かったものの、1日中ほぼ快晴。しっかりと準備されたセストリエール(イタリア)のGSコースは、非常に緊迫したレースを演出した。
スタート直後は急斜面。その後斜度は一気に緩くなり、直角に右へ曲がって尾根状の狭い中斜面に入る。そして今度は左に90度にターンしながら長い急斜面へと突入。いくつかのうねりを越えながらコースはようやくゴールへ、というプロフィールだ。標高差354mの変化に富んだコースに、この日1本目50旗門、2本目49旗門が立った(ターン数はいずれも48)。
優勝はテッサ・ウォーレー(フランス)で、キリントン(アメリカ)での第2戦に続く今季2勝目。通算では9度目の勝利(すべてGS)となる。
2位には、地元イタリアのソフィア・ゴッジャが続き、3位はララ・グート(スイス)という表彰台の顔ぶれとなった。

 

トリノオリンピック以来10年ぶりのワールドカップ技術系レース。快晴のもと、緊迫したレースが展開された

2006年のトリノ五輪ではアルペンのメイン会場として多くの名勝負の舞台となったセストリエール。日本のファンにとっては、皆川賢太郎がメダルまであと100分の3秒に迫ったスラロームの興奮が記憶に鮮明なことだろう。
当時のセストリエールは、毎年のように大会が行なわれるワールドカップのレギュラー会場だったが、五輪終了後はどういうわけかワールドカップの招致に消極的。オリンピックで湧いたコースでワールドカップが行われることはほとんどなくなってしまった。
だが、今季は久々にワールドカップ・カレンダーに復活。女子のジャイアント・スラロームとスラロームが行なわれることになった。2008年の2月に女子のダウンヒルとスーパーGが行なわれてはいるが、技術系のレースとしては2006年以来の開催である。

久々のワールドカップだからか、オペレーションはかなりグダグダで、我々プレスは受付をするのも、ワーキングルームを探すのにも右往左往。まあ、これがイタリア流だと思えば腹も立たないのだが、正直なところ到着早々は10年ぶりの再訪を懐かしむどころではなかった。
ただし、肝心のコースの方はさすがに入念に仕上げられていた。気温は高く太陽に強く照らされる条件のなかでもほとんど荒れず、最後まで公平さを保った。上位のタイム差は非常に詰まり、アタック次第では後ろのスタート順からでも、2本目に進出するチャンスは充分。したがって1本目は最後まで息を抜けない展開となった。

1本目は僅差ながらトップに立ったミカエラ・シフリンだが、2本目で振るわず6位に下がった

1本目ベスト・タイムを記録したのはミカエラ・シフリン(アメリカ)で、これを100分の1秒差でティナ・ヴァイラーター(リヒテンシュタイン)が追い、さらに100分の4秒をおいてララ・グートとテッサ・ウォーレーが同タイムで並ぶという順。地元イタリアチームは、エースのフェデリカ・ブリニョーネこそ途中棄権したが、5位につけたゴッジャを筆頭に7人が2本目に進むという充実ぶり。彼女たちの活躍が詰めかけた大観衆をさらに熱狂させた。
日本からは長谷川絵美(サンミリオン)がただひとり出場した。26位となったGS第2戦に続くワールドカップポイント獲得を狙ったが、シフリンから3秒06を失って40位。残念ながら午前中でレースを終えた。
「セットが真っ直ぐだったので、ターンしすぎないように意識していたが、大回りしすぎた。スキーを踏むタイミング、ターンを始めるタイミングが遅くなってしまった。真っ直ぐなセットを真っ直ぐに滑ることが苦手なので、その点に迷いが出て、滑りに影響したのだと思う」と分析。硬い雪、急斜面の多い斜面構成と本来であれば彼女が得意とするコースだっただけに、1本目での敗退は悔しい結果だろう。明日のスラロームでの巻き返しを期待したい。

直線的なセットを攻略できなかった長谷川絵美。トップから3秒09遅れで、1本目40位に終わった

さて午後からの2本目。

1本目同様スリリングなレースだったが、大観衆がもっとも湧いたのは、1本目5位のソフィア・ゴッジャが暫定1位となるタイムでゴールした瞬間だ。
「滑り慣れたコースだが、レースとなるとやはり厳しい。すべてを出し切ってようやくゴール。もうへとへとだった。最初の急斜面ではあまりよくないと感じたので、中間のフラットな部分で勝負をかけた。今日は家族が応援に来ていたし(愛犬も!)、お客さんの数もすごかったので、最高の雰囲気。そんなレースで表彰台に上れたことはとっても嬉しい」
ゴッジャは先月誕生日を迎えた24歳で、スラローム以外の3種目を得意とする準オールラウンダーだ。ジュニア世界選手権でのメダルはないが、ヨーロッパカップを中心に実績を積んできた。しかし怪我で長い足踏みを強いられ、2014/15シーズンを棒に振っている。
同じ頃、怪我からの復帰を目指していたララ・グートと知り合い、グートから多くの影響を受けたという。ひとつ年上のグートはスイス人だが、イタリア語圏の出身なのでイタリア語はペラペラなのだ。
「ララは、私にとっての大親友で恩人。苦しいときに助けてくれたし、今ではトレーニングやレースのときにアドバイスもしてくれる。そんな彼女に今日は勝ったのだから、最高の気分」と笑顔が絶えなかった。

2本目の終盤、あわや尻もちか、というミスを犯したソフィア・ゴッジャ。しかし、ここから執念で立て直し、2位に滑り込んだ

3位はララ・グート。あまり良い滑りはなかったと語るが、しっかりと3位に入賞した

そのグートは3位の表彰台。
「今日は私の日ではなかったけれど、ソフィアの滑りは素晴らしかった。ふたりで一緒に怪我からの復帰を目指してきた仲なので、自分のことのように嬉しい」とゴッジャを祝福した。
グートにとって3位というのは、けっして最高の成績とはいえないが、シフリンが2本目に6位に順位を落としたので、ワールドカップ総合ではシフリンとの差を8点にまで縮めた。明日はあまり得意ではないスラロームなので、再び差を広げられるだろうが、来週、ヴァル・ディゼールで行なわれるコンバインドで取り返す作戦だという。
優勝したテッサ・ウォーレーは、ジュリアン・リゼロ-のガールフレンドだ。もう付き合いは長く、ウォーレーが怪我に苦しんでいるときには、リゼローに強く支えられたという。怪我の回数ではリゼローの方が豊富。経験に基づく献身的な激励が実を結び、ウォーレーは今シーズン、見事に復活した。GSで通算9勝は、フランスの女子選手としては、キャロル・メルルの最多勝記録にあとひとつに迫った。
「2本目のスタート前には、ヴァル・ディゼールで行なわれている男子GSをテレビで見ていた。アレクシー(パントュロー)の優勝と、彼の素晴らしい滑りにはとても刺激を受けた。だからアレクシーのような攻撃的なイメージで2本目を滑った」と語った。
その結果、フランスのヴァル・ディゼールはアレクシー・パントュローが、そしてイタリアのセストリエールではテッサ・ウォーレーが優勝。直線距離ではわずか60㌔しか離れていないふたつの会場で、フランスの男女同日優勝という快挙が達成されたのだ。

公式リザルト

優勝したテッサ・ウォーレー。キリントンに続くGS2連勝だ