

男子GS第7戦 ヒルシャーが逆転で今季4勝目
ドイツのガルミッシュ・パルテンキルヘンで行なわれていた第64回カンダハー大会。最終日はワールドカップ男子ジャイアント・スラローム第7戦でした。
1本目僅差の2位につけていたマルセル・ヒルシャー(オーストリア)が爆発的な2本目でアレクシー・パントュロー(フランス)を逆転。今季のワールドカップ4勝目をあげました。通算では43勝目、GSでの勝利は20回目となります。
2位はマッツ・オルソン(スウェーデン)が入り、ワールドカップ初の表彰台。3位は地元ドイツのシュテファン・ルイツでした。 2本目のスーパーランで逆転優勝のマルセル・ヒルシャー 以下、入賞者の談話です。
優勝:マルセル・ヒルシャー(オーストリア)
ーー 素晴らしい滑りだった。
2本とも良かったけど、とくに2本目は自分でも会心の滑りだった。ガルミッシュ・パルテンキルヘンのGSはいつも体力的にきつい。急斜面は技術的にも難しく、シーズンのなかでもタフなレースのひとつだ。100点とれたし、GSでの20勝目になるので、特別な気分だ。
ーー 今後の予定は?
明後日のストックホルムのパラレ


第64回カンダハー大会ダウンヒル
第64回カンダハー大会のダウンヒルは、ハンネス・ライヒェルト(オーストリア)が優勝し、今季初勝利、通算12回めのワールドカップ優勝を記録しました。2位は好調ペーター・フィル(イタリア)。昨日の3位に続き2戦連続の表彰台で、種目別ランキングトップに返り咲きました。3位にはベアト・フォイツ(スイス)が入りました。
以下、レース後の3人のインタビューです。 1番スタートで滑り、そのまま誰にも抜かれなかったハンネス・ライヒェルト Photo:Gio Auletta/Pentaphoto 優勝:ハンネス・ライヒェルト(オーストリア)
―― 今季初優勝おめでとう。
最高にハッピーだ。ここまでつらい時期を過ごしてきたからね。とくに9月に腰を手術してからは、本調子に戻すのがとても大変だった。先週のキッツビュールあたりから少しずつ良くなってきたけど、ハーネンカム大会では技術的なミスが多くてチャンスをつかめなかった。
―― 今日のコースコンディションはどうだった? 昨日は誰もが危険過ぎると言っていたけど。
僕もそう思うよ。全体的にバンピーだった


負傷者続出のガルミッシュDH
ウェンゲンのラウバーホルン大会、キッツビュールのハーネンカム大会に続き、今週はガルミッシュ・パルテンキルヘンで第64回カンダハー大会。いずれもワールドカップが始まるはるか以前から行われていたクラシックレースです。
1月27日(金曜)は男子ダウンヒル第4戦、ウェンゲンで中止となった分の代替レースとして開催されました。世界一危険だと言われるキッツビュールのハーネンカム・ダウンヒルは、今季は大きなアクシデントなく終わりましたが、この日は一転して荒れ模様。激しいクラッシュが続出しました。 ヴァル・ガルディナでのダウンヒル第2戦。スティーヴン・ナイマンはこのレースで3位 まず11番スタートのスティーヴン・ナイマンが終盤の大ジャンプでバランスを失い後傾姿勢で着地。直後に転倒しそのままネットに突っ込み起き上がることができませんでした。ヘリコプターで病院に運ばれましたが、FISレースディレクター、マルクス・ヴァルドナーの談話によると、膝の前十字靭帯断裂の可能性があるということです。
またキッツビュールで2位となったヴァランタン・ジロー・モアンヌ(フランス)も


キッツビュール・ハーネンカムダウンヒル
ワールドカップキッツビュール大会(第77回ハーネンカム大会)のダウンヒルは、快晴無風、厳しく冷え込んだ絶好のコンディションのなかで行なわれました。詰めかけた観衆の数は5万人。過去最高の数字です。
昨シーズンは、悪天候を考慮してスタート位置を下げ、さらにクラッシュ続出のために30人が滑った時点でレース終了という唐突な幕切れ。選手にとっても観客にとっても、もちろんそれを決断した大会の運営側にとっても欲求不満の残るレースでした。しかし、今年はトレーニングランのときから好天に恵まれ、すべてがスムーズに進行。最大の山場となるダウンヒルも、これ以上ないほどのスムーズなレースとなりました。 優勝:ドミニク・パリス 優勝は、ドミニク・パリス(イタリア)。今季初優勝ですが、ハーネンカム大会ダウンヒルの優勝は2013年に続き4年ぶり2回目。2015年にはスーパーGでも優勝しているので、このコースでは通算3勝目となります。オーバーハウスベルクという終盤のフラットな区間で一瞬内倒しかけましたが、すばやくリカバリー。ミスと呼べそうなのはこの1回のみで、スムーズなライン取


ヴェステンドルフ ナイトスラローム
昨夜ヴェステンドルフで行なわれたナイトスラローム。FISレースなのに有料という世界唯一(多分)のレースです。キッツビュールのスラロームの3日前なので、その前哨戦としてワールドカップの第1シードレーサーがこぞって出場することで知られますが、今シーズンは例年ほどの豪華メンバーではありませんでした。現時点で第1シードにいる選手ではマルコ・シュヴァルツ(オーストリア)のみが出場。レベルとしてはヨーロッパカップ程度といったところでしょうか。日本からは成田秀将(トップチームウィーン)と中村舜(東海大)が出場。成田は20位で中村は残念ながら1本目途中棄権でした。日本チームはこのレースを来週火曜日夜に行なわれるスラローム第8戦(シュラドミング)の選考レースに設定していました。本来ならばふたりに加えて河野恭介(野沢温泉SC)の3人で国枠の出場権を争うはずでしたが、河野がファーイーストカップ出場のため韓国に行っているため、成田・中村のマッチレースとなりました。 成田秀将1本目 スタート順は中村7番、成田18番。先に滑った中村が途中棄権に終わったため、成田は100%の


悪天候が演出した大番狂わせ 男子アルペン・コンバインド第2戦(ウェンゲン)
アルペン・コンバインドはダウンヒル又はスーパーG1本とスラローム1本の合計タイムで争う競技。ダウンヒルは正規の長さより多少短縮されるものの、1日のうちにまったく性格の異なる種目を滑るわけで、技術的に難しいのはもちろん、体力的な負担も大きい。レーサーとしての総合力が問われる種目と言っても良いだろう。だが、ウェンゲンで行なわれた今季アルペン・コンバインド第2戦は、気まぐれな天候に大きく左右され、誰もが想像すらできないような意外な結果となった。優勝はニールス・ヒンターマン(スイス)、2位マクサンス・ムザトン(フランス)、3位フレデリック・ベルトールト(オーストリア)と、表彰台に上った3人はいずれもほとんど無名のアウトサイダーだった。 優勝 ニールス・ヒンターマン(スイス) 2位 マクサンス・ムザトン(フランス) 勝負を分けたのは、午後から行なわれたダウンヒルだった。最初の10人くらいまでは視界も効き、雪も風も弱い状況だったが、スラロームで上位につけた実力者たちが滑る頃には、風雪が強まりさっぱりタイムが伸びない。次々とフィニッシュする選手たちは、不本意な


霧の中のスラローム(アデルボーデン)
日曜日のアデルボーデンSL終了後、写真整理もそこそこに次の目的地、火曜日夜に女子スラロームが行なわれるフラッハウに向かいました。スイスからドイツを通ってオーストリアまで約700㌔の移動で、睡魔と戦いながら昨夜ようやく到着しました。あと数時間後にワールドカップ女子スラローム第7戦が始まります。
さて、アデルボーデンのスラロームですが、ザグレブに続いて気象条件に大きく翻弄されるレースとなりました。 前夜から降り続いた雪は明け方さらに激しさを増し、コース状況が心配されましたが、夜明けとともに降り止み、やがて雲間からときおり陽光が差し込むほど好転。ところがとくに1本目は競技開始しばらくすると、視界が突然悪化。気温が急激に下がったため、谷間から上がってきた深い霧がすっぽりとコースを覆ってしまったからです。まともな視界で滑れたのはスタート順の早いごく数人のみで、6番スタートで滑ったマルセル・ヒルシャーは、コース中盤から下ではほとんど何も見えない状態。トップから1秒60遅れというタイムで、フィニッシュと同時に両手を広げ、不満を露わにしました。 3番スタート


パントュロー フランス選手の最多勝記録を更新。ヒルシャーは通算100回めの表彰台
まれに見る好レースと呼ぶべきレースが、ほぼ毎回見られるのがワールドカップですが、アデルボーデンで行なわれた男子GS第6戦も近来まれに見るすばらしい勝負でした。
アレクシー・パントュロー(フランス)VS.マルセル・ヒルシャー(オーストリア)。現代のGS技術の最高到達点に立つふたりのスター選手の一騎討ちは、1本目ベストタイムのパンテュローが100分の4秒という僅差でヒルシャーの猛追を振り切り、今季4勝目。これは彼にとって通算19回目のワールドカップ勝利で、ワールドカップ初代チャンピオン、ジャン・クロード・キリーの記録を抜いてフランス選手としての最多勝記録を更新しました。今年で50周年を迎えるアルペンスキーのワールドカップにとって、象徴的な大記録と言えるでしょう。 「憧れの大先輩の記録を抜いたことは、とても誇りに思う。ただ、ジャン・クロード・キリーはあくまでジャン・クロード・キリー。時代が違うし、彼の偉大さは何も変わりはない。彼は25歳で現役を引退したが、僕は今25歳。もちろんまだまだ続けるつもりだから、数字を比較してもあまり意味はないんだ」とあくま