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2018/19のスキーシーズンがそろそろ終盤に差しかかってきた。ワールドカップも全日本スキー技術選手権も終了。これから雪が消えるまでの間に、来季に向けてのマテリアル選びを考えるスキーヤーも少なくないだろう。

 

雪上では、各メーカーやショップの試乗会が行なわれたり、また雪を離れて各地で早期受注会が開催される季節。次の冬、どんなスキー、どんなブーツで滑ろうかとマテリアル選びに夢中になるのもスキーの楽しさのひとつと言えるだろう。

今回は2019/20シーズンに向けたフィッシャーのラインアップに注目してみた。一般ゲレンデでの「快適なスキー」をテーマに開発された「初級~上級者まで幅広くカバーするシリーズだ。

2019/20シーズンに向けてフィッシャーは、アルペンスキー(競技としてのアルペンスキーではなく)のマスマーケット ―もっとも規模の大きな市場― をターゲットとした新しいスキーを発表した。

全スキー人口のなかでもっとも数が多いのはオンピステを滑る、いわゆる一般スキーヤーと呼ばれる層だろう。フィッシャーの分析によると、スキーヤーをその志向性と技術レベルを基準に分類すると下の図のようになるという。

フィッシャーが分析するマーケットの現状。もっとも人口の多いのはオンピステを滑る初級~上級者。【RC ONE】シリーズはまさにその層に向けて開発が進められた

縦軸がスキーヤーの技術レベルを表し、それぞれのピラミッドの頂点にプロアスリートたちがいる。そしてその下にはエンスージアスト(熱狂的なファン)がいて、さらにレクリエーショナル・スキーヤーが存在する。

一方横軸は、ピステ(ゲレンデ)、フリーライド、そしてツアー、パーク&パイプという楽しみ方の志向を表している。多様化の進むスキー界だが、この図では、数の上ではやはりオンピステを滑るスキーヤーが圧倒的多数であることを示している。そして技術レベルでいうと、いわゆる一般スキーヤーの初級〜上級者がボリュームゾーンなのだ。

さて、そのマスマーケットだが、実際には相当混乱しているのが現状、とフィッシャーでは分析している。何が混乱しているかというと、商品ラインアップだ。多くのメーカーがオンピステを滑る一般スキーヤーに向けて、ふたつのシリーズを用意している。たとえばフィッシャーの2018/19モデルだと、【プログレッサー】と【プロマウンテン】があり、他社でも同様だ。単純に分ければ、普通のスキーと少し幅広のスキーの2本立てなのだが、ユーザーにとっては区別がわかりにくいし、また販売店にとっては、そうしたユーザーの疑問に的確に答えるのが難しい状況があるのだ。

そこでフィッシャーでは、マスマーケット向けのシリーズをひとつに統合し、2019/20モデルからは、統一したコンセプトのもとにスキーの開発に着手。ONE-統合-というメッセージをこめた【RC ONE】シリーズを発表した。

【RC ONE】のコンセプトは、「最初のターンから気持ちよさを感じることのできるスキー」だ。リフトを降りて斜面を滑り出した瞬間から、思わず笑いがこみ上げてくるようなスキー。それがフィッシャーの考える気持ちの良いスキーなのだ。

具体的にはまず第一に軽いこと。重量的な軽さというよりも、軽快感のあるスキー。それでいて安定していて、しっかりと雪面をグリップする。そしてムーズでストレスのない挙動。つまりふわふわせず、ターン中にバタつかない安定感も大事だ。さらに容易にターンに入れる取り回しの良さ。【RC ONE】の開発は、これらの要素をあますことなく盛り込むことをめざして進んだのだという。

トップ、センター、テールの各部で半径が異なる“トリプルラディウス”を採用

それを実現するために【RC ONE】にはいくつかの注目すべきテクノロジーが採用されている。

①トリプルラディウス スキーのトップ、センター、テール部のそれぞれに異なる半径(ラディウス)のサイドカーブを採用。 下図のようにショート系のラディウスでなめらかにターンに入り、ミドル系のラディウスが雪面をがっちりつかみ、最後に再びショート系のサイドカーブでヌケの良いターンを仕上げるというイメージだ。こうした特性によって、非常に多彩なターンを自由に描けるのが【RC ONE】の最大の魅力となっている。

②ターンゾーン 【RC ONE】シリーズで初めて採用されるテクノロジー。下図の網がかかっている部分が薄く仕上げられている。したがってスウィング・ウェイトが軽くなり、取り回しが良い。またこの軽さによってバタつきがおさえられるために、スムーズな滑走性にもつながっている。このへんは、フィッシャーのスラロームモデルに採用されている“穴あきスキー”と共通する考え方と言えるだろう。

トップとテール部を薄くし、軽量化と滑走性向上を図っている

③チタニウムのシート 軽量化をめざすためのターンゾーンだが、単に軽いだけのスキーでは頼りないスキーになってしまう。そこで【RC ONE】の上位モデルには、トップからテールまでスキーを縦に貫くようにチタチウムのシートが内蔵されている。厚さは0.8mmと0.5mm。これによって、適度な張りと強さが生まれ、上級者のハードな滑りにもしっかりと応えてくれる。

④バファテックス これはヨットのセールやパラシュートに使われる繊維素材。軽量でフレキシブルだが、引張り強度にとてもすぐれているので、これをスキー内部に効果的に配することで、強さとしなやかさとを両立させることができるという。

以上のようなテクノロジーが盛り込まれた【RC ONE】シリーズだが、2019/20モデルの主要ラインナップは以下の通りだ。

上級者モデル]

【RC ONE 72】 シリーズのフラッグシップモデル。72とはセンター幅(単位はミリメートル)を示しており、119-72-102というサイドカットだ。フィッシャーの設定する対象スキーヤーは“エッジカーバー”。つまり、エッジに乗ってシャープなカービングターンを描きたいと望むスキーヤーを満足させるスキーに仕上がっているという。

パックされたゲレンデを気持ちよく安定して滑りたいという上級者向け。厚さ0.8mmのチタニウムのシートが内蔵されており、高速でもばたつかない安定感が特徴だ。

テスターのインプレッション 高瀬慎一(ナショナルデモンストレーター 2019年全日本スキー技術選手権8位 2019国体成年男子C組優勝)

・トップからテールまで、適度な張りがあり、とても滑りやすかった。

・プレートとのバランスがよく、【カーブ】の足元がグリップする感覚とは違い、板全体が適度にグリップする感じ。

 

・少ない力で綺麗にたわんでくれ、ターン後半はスムーズに抜けてくれた。

・とても軽くて、扱いやすい。

・男性なら長さは170cmがベストで、女性はもう1段下の長さがベストだと思う。

・もっとも適した対象スキーヤーはSAJ1級程度。もちろんそれよりも上のクラスでも十分な安定感がある。とくにもっと楽に滑りたいというシニアのエキスパートスキーヤーには向いていると思う。

 

【RC ONE 86GT】 上級者向けにはもう1機種用意されており、センター幅86ミリの【RC ONE 86GT】だ。幅広のスキーだが、内部構造は【RC ONE72】とほぼ同様。厚さ0.8mmのチタニウムのシートが内蔵され、安定性、走破性の向上に効果を発揮するという。

サイドカットは130-86-116と広く、新雪やラフな雪、春先の悪雪などでもコントロールを失いにくい。オフロードを突き進むようなクルージング性能が特徴だ。

【RC ONE 72】がエッジカーバー向けなのに対し、こちらは“バーサタイルカーバー”を対象とする。バーサタイルとは、Versatile― 多彩な、多様な ―という意味だが、より幅広い条件でのスキーを求める上級スキーヤーには、最適な選択肢となるだろう。

中・上級者モデル

 

【RC ONE 73】 極端なハイスピードで滑ることはないけれど、軽快さのなかにもそこそこの安定感を求める中・上級者向きのオンピステモデル。0.5mmというやや薄めのチタニウムのシートが内蔵され、しなやかな乗り味が最大の特徴だ。

テスター高瀬慎一のインプレッション

・トップが柔らかく、しなやかに雪面をとらえる。テールは安定している。

・とても軽いので、取り回しが容易。

・バッジテスト2級程度のスキーヤーが乘ると、スキーが楽しくなるだろう。

 

【RC ONE 82GT】 【RC ONE73】と対になるモデルで、柔軟性にすぐれたしなやかなスキー。ロッカー形状であると同時にセンター幅が80mmを超えるので、適度な浮力がある。雪質を選ばずどんなシチュエーションでも気持ちよく滑ることができるだろう

中級者モデル

軽くて操作の楽なスキーを求める中級者には、【RC ONE74】と【RC ONE 78GT】が用意されている。前者にはチタニウムのプレートは内蔵されていないが、【RC ONE 78GT】は、0.5mm厚のチタニウムシートを採用。いずれのモデルも軽さが際立つ軽快なモデルだ。くるくる回ってくれるので、気持ちの良いショートターンが刻めるスキーと言えるだろう。スピードの次元は高くないが、取り回しの良さは中級者のレベルアップに貢献してくれるはずだ。

まとめ

このシリーズはワールドワイドな展開で、とくに日本向けのセッティングはしていない。ただ輸入にあたってオーストリアの氷河スキー場でも実走テストを行なった高瀬慎一の報告では、日本の雪で滑ったときのほうがはるかに印象が良かったという。

全体として言えるのは、【RC ONE】は一生懸命に頑張って乘るようなスキーではない、ということだ。比較的高いポジションでゆったりと乘るのが楽しいタイプ。多少ポジションが後ろ寄りになっても、素直に曲がってくれる、コントロール性にすぐれたスキーなのだ。一般的な上級者が、通常の条件で滑る限り、何の不安もなく快適な滑りが楽しめるだろう。

反面、技術選を目指すとか、テクニカル、クラウンの検定を受けようというエキスパートには、フィッシャーでもすでに定評のある[The Curvシリーズ]、または[RC4 RC/SCシリーズ]をお勧めするということだ。

最後に価格についてだが、上位モデルの【RC ONE 72】で128,000円(税別)に設定されている。

ここでは紹介しきれなかったが【RC ONE】シリーズは全部で10機種が揃っている。それぞれの詳細なスペックについては http://www.goldwin.co.jp/fischer/alpine/datalibrary.html に掲載されているので、ぜひ参照してほしい。