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霧の中のスラローム(アデルボーデン)

日曜日のアデルボーデンSL終了後、写真整理もそこそこに次の目的地、火曜日夜に女子スラロームが行なわれるフラッハウに向かいました。スイスからドイツを通ってオーストリアまで約700㌔の移動で、睡魔と戦いながら昨夜ようやく到着しました。あと数時間後にワールドカップ女子スラローム第7戦が始まります。 さて、アデルボーデンのスラロームですが、ザグレブに続いて気象条件に大きく翻弄されるレースとなりました。

前夜から降り続いた雪は明け方さらに激しさを増し、コース状況が心配されましたが、夜明けとともに降り止み、やがて雲間からときおり陽光が差し込むほど好転。ところがとくに1本目は競技開始しばらくすると、視界が突然悪化。気温が急激に下がったため、谷間から上がってきた深い霧がすっぽりとコースを覆ってしまったからです。まともな視界で滑れたのはスタート順の早いごく数人のみで、6番スタートで滑ったマルセル・ヒルシャーは、コース中盤から下ではほとんど何も見えない状態。トップから1秒60遅れというタイムで、フィニッシュと同時に両手を広げ、不満を露わにしました。


3番スタート ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)

5番スタート マンフレッド・メルク(イタリア)

6番スタート マルセル・ヒルシャー(オーストリア)

27番スタート 湯浅直樹(スポーツアルペンSC)

上の写真からも分かる通り、

霧はその後もさらに深くなり、第2シード以降はスタートからいきなりの霧の中。肉眼では2旗門先がようやく見通せるかどうかという状況でした。そんななか湯浅直樹は27番スタート。 「ザグレブでは人生最大の向かい風、今日は深い霧と2レース続けて天候には恵まれていない。ほとんど何も見えなくて、目の前の状況にアジャストするので精一杯だった。ただコースは悪くなかった。少し引っかかる感じはあったが、大きな問題ではなかった」と1本目終了後の湯浅。結果は12位と悪くない順位でしたが、2秒82という大きなタイム差がこのレースの難しさを物語っています。


惜しくも途中棄権に終わった河野恭介(野沢温泉SC)

もう一人の日本選手、河野恭介は63番スタート。第2中間計時までは2本目進出のチャンスのあるタイムでしたが、徐々にリズムが乱れ始め。終盤の急斜面でこらえきれずにコースアウトに終わりました。 「スタート直後に失敗し、緩斜面でもミスをしたので、急がなくてはという気持ちが強すぎた。そうなると身体が突っ込んで、スキーのトップしか使えず、止まるエッジングになってしまった。もう少し落ち着いて滑ればよかったんだけど…」と悔しさを飲み込む表情。ただワールドカップも3シーズン目となり、以前よりはリラックスしてレースに臨めているということです。トレーニングでは湯浅とそれほど変わりないタイムを記録しているので、あとはレースでその滑りをどうやって表現するか。誰もが悩み苦しむ大きな課題ですが、今後の彼に期待したい思います。

4戦連続の入賞で、種目別ランキングでは11位に上昇した湯浅直樹

湯浅の2本目は、やや守りに入った印象。失敗の予感は感じさせないかわりに、危険な香りもしない滑りで順位をふたつ落とし、合計では14位に落ち着きました。それでもザグレブ同様のサバイバルレースを生き残った報酬は18点のワールドカップポイント。この結果種目別ランキングで11位タイ、ワールドカップスターティングリストでは26位に浮上しました。 結局レースは、ヘンリック・クリストッファーセン、マンフレッド・メルク、マルセル・ヒルシャーという順。ザグレブで勝ったメルクが一気に波に乗ってきました。怪我に悩まされ、長い不振の時期をスギオしてきたベテランが、いよいよ本来の力を取り戻してきたようです。






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