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冬季アジア札幌大会女子GSは日本が3位までを独占。ただしメダルは金と銀のふたつのみ?

2017冬季アジア札幌大会の女子ジャイアント・スラロームは、長谷川絵美(サンミリオンSC)、安藤麻(東洋大学)、そして荒井美桜(サンミリオンSC)の3選手によって日本の1-2-3フィニッシュが完成。アジアにおける日本アルペンの力を見せつけました。実力的に見れば順当勝ちと言えるでしょうし、彼女たちが本当にめざすべき地点は、ここではないことも確かです。ただ、勝つべきレースできちんと勝つのは、それほど簡単なことではありません。まずはしっかり結果を出した3選手の健闘を称え、おめでとうと言いたいと思います。

軟らかいコースに苦しみながら、要所ではさすがという滑りを見せた長谷川絵美

世界選手権帰りの安藤麻。1本目のビハインドを取り戻せなかった

3位に入った荒井美桜。まもなく20歳になる社会人2年目

1本目は長谷川絵美が貫禄の滑りでベストタイム。2位の安藤麻に1秒73の大差をつけてリードしました。3位に韓国のGIM So-huiをはさんで、4位荒井美桜という順で2本目に進みました。 出場選手数はちょうど30人で、そのうち1本目29人が完走。したがって2本目はフリップ15が採用され、15番からのリバーススタートです。

2本目は、1本目で大きなタイム差をつけられた荒井が奮起しました。続くGIM So-huiが激しくクラッシュしたため荒井がメダル圏内に浮上。GIM So-huiは負傷した模様で、救護のためにしばらく競技が中断されました。したがって、安藤と長谷川はスタートでかなり長い間待たされることに。コースは荒れ、しかもこの頃から霧が山肌を上がり始め、視界が急激に悪くなる不運。それでも日本のふたりは、荒れたコースに苦しめられながらもしぶとく粘り、無事ゴール。長谷川は僅差ながら2本目もベストタイムを記録し、結果的には2位以下に大差をつけて金メダルを獲得しました。

↑長谷川絵美2本目

↑安藤麻2本目

↑荒井美桜

これで日本が1位から3位までを独占したわけですが、では3つのメダルを独占したかといえば、そうではありません。アジア大会には「同一国・地域からは最大で2名までしかメダルを獲得できない」というちょっと変わったルールがあるからです。銅メダルは、3位の荒井ではなく4位に入った韓国のKANG Young-Seo の手に渡りました。長谷川とKANG Young-Seo とのタイム差は実に10秒77。彼女自身は、もちろんこのタイム差が意味するものを理解していたでしょうし、実際表彰台の上の彼女はそれほど嬉しそうな表情は見せませんでした。

このルールはアジアオリンピック評議会(OCA)が定めたもので、アジア地域のスポーツ発展のためにより多くの国にメダルを取ってもらおうという配慮がその根拠のようです。“オリンピック精神”の原理主義的な解釈とも言えそうですが、一般的にはなかなか理解しにくいルールです。アジア大会レベルでもメダルにからむ選手ともなれば、多くはアスリートとしてのプロ意識は持っていることでしょう。自分が4位や5位なのにも関わらず銅メダルをもらったとして、果たして名誉に感じことができるかといえばとても疑問です。

今大会ではスケート競技でも同様のことが起こっており、それぞれ議論を呼んでいます。これをきっかけに、今後OCAでルールの見直しがされることを期待します。 そんなわけで、ちょっと釈然としない幕切れでしたが、これによって3選手の健闘の価値が下がることはありません。もちろん公式記録には3位荒井美桜と間違いなく記されています。

表彰式の後、本来のトップ3による裏表彰式(?)が行なわれた。右から荒井・長谷川・安藤



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