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2017/18シーズンのストーブリーグ情報

内外のアルペンレースもようやく一段落。シーズンからシーズンの境目となるこの季節は、選手にとって貴重なの休養期間だ。束の間のバカンスを楽しんだり、次の冬に向けてバッテリーを充電したり。選手たちも冬とはまた違った充実した時間を過ごしていることだろう。

そんななか、来シーズンに向けて、何人かのトップレーサーが用具を変更することを発表した。国際スキー連盟(FIS)のオフィシャルサイトでも、新しいマテリアルで2017/18シーズンを戦う選手たちを紹介していて興味深い。そんな“ストーブリーグ”の情報をまとめてみよう。

最大のトピックはティナ・ヴァイラーター(リヒテンシュタイン)のヘッドへの移籍だろう。1982年の世界選手権ダウンヒルチャンピオン、ハルティ・ヴァイラーターを父に、ワールドカップ総合優勝2回のハニ・ウェンツェルを母に持つ生粋のサラブレッド。長年、アトミックを使ってきたが、オリンピックシーズンを前に“HEADワールドカップ・レベルズ”への移籍を決意した。

昨シーズンはスーパーGの種目別チャンピオンを獲得している。彼女にとってはキャリアハイの成績であり、大成功のシーズン直後の移籍とはいささか唐突なような気もする。それについて彼女は自身のインスタグラムで、ファンの疑問に答える形で次のように説明している。 「マテリアルを変えることでどんなメリットがあり、どんなデメリットが考えられるのか長い時間をかけて自問自答してきた。そしてテストを重ね、さまざまに議論をするなかで、進むべき道がどんどんクリアになってきた。ヘッドのマテリアルに加えて、新しいコーチ、新しいマネージャーからのサポートを得られるので私のためのドリームチームの体制が整った。100%の自信を持って新しいスタート切ることができると思う。だから皆さんも私の決断を信じて!」 彼女なりに熟慮の結果の決断だったようだが、27歳の彼女の移籍が果たしてどのような成果につながるのだろうか。

HEADワールドカップ・レベルズに移るもう一人の大物選手が、アレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー)だ。2015/16シーズンに一気にブレイクし、23歳の若さでスーパーG種目別優勝を果たした新鋭。ヴァイラーター同様、アトミックからヘッドへの移籍となる。今季も総合7位、スーパーG種目別3位と健闘したが、さらにもう一段のステップアップをめざしての決断。チームの先輩、アクセル・ルンド・スヴィンダールとチェティル・ヤンスルッドと同じスキーを使うことになったわけで、テストやレースでのスキー選定などでのメリットは大きいだろう。彼もインスタグラムでマテリアルの変更を発表したが 「新しいヘッドのスタッフとともに、マテリアルとテクニック両面からさらに成長していきたい」と抱負を語るとともに、これまでの彼を支えてくれたアトミックへの感謝の気持ちを綴っている。

また、2015/16シーズンの女子GSチャンピオン、エヴァ-マリア・ブレム(オーストリア)がフォルクルからフィッシャーに移る。ブレムは昨年11月、トレーニング中のクラッシュで左足の脛骨と腓骨を折るという重傷を負い、ディフェンディング・チャンピオンとして戦うはずのシーズンを棒に振ってしまった。長く苦しい治療とリハビリを経て雪の上に戻り、フリースキーを開始しているようだが、新しいシーズンを戦うパートナーとしてフィッシャーを選んだ。もともとブーツはフィッシャーを使用しているブレム。これで完全にフィッシャー・レースファミリーの一員となったわけだ。 「スキーのできなかったこの冬の間、私には自分の過去と未来について考える時間がたっぷりとあった。どんなマテリアルが自分にもっとも必要なのか。そして下した結論がフィッシャーへの変更。オリンピックシーズンをフィッシャーとともに戦えることを誇りに思う」と語った。彼女同様、アナ・フェニンガー、ララ・グートも怪我からの復帰をめざす2017/18シーズン、女子GSのタイトル争いはますます見応えのあるものになるだろう。

一方、そのフィッシャーを去りロシニョールに移るのがフランスのベテラン・スラローマー、ジャン・バティスタ・グランジだ。もっとも彼にとってロシニョールは古巣のブランド。2008/09シーズン、ワールドカップの種目別チャンピオンになったときも、2011年の世界選手権(ガルミッシュ・パルテンキルヘン)で金メダルを取ったときも、彼はロシニョールを履いていた。フィッシャーでも2015年の世界選手権(ヴェイル/ビーヴァー・クリーク)の金メダルを獲得する活躍を見せていたが、平昌オリンピックのシーズンは、再びロシニョールとともに戦うことになった。契約は2年間。平昌五輪だけでなく、2019年に行なわれるオーレ世界選手権までを視野に入れた移籍だ。ただし、過去に輝かしい実績を持つグランジも、現状では代表に入れるかどうかは微妙なところ。ここで大きく環境を変え、自分に喝を入れようという狙いだろう。ワールドカップの表彰台からはすでに6年間も遠ざかっており、2016/17シーズンは3レースで14位になったのが最高。32歳となった彼がそんな低迷から抜け出すことができるのか。日本にも“JB”の復活を願っているファンは多いはずだ。

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