ベテランたちの逆襲           ワールドカップ女子GS第1戦

October 29, 2017

 

2017/18シーズン最初のレース、女子GS第1戦はセルデンのレッテンバッハ氷河で行なわれた。強風のためにスタート地点を下げての競技開始。上部のフラットな区間がカットされ、正規のスケールよりも標高差にして80m、タイムにして約10秒短いコースで行なわれた。

そんな影響もあったのだろうか、優勝はヴィクトリア・レーベンスブルク(ドイツ)2位にテッサ・ウォーレー(フランス)、3位マニュエラ・メルク(イタリア)と、表彰台の3席はいずれもベテラン選手。昨シーズンはまだ20歳だったマルタ・バッシーノ(イタリア)が3位に入るなど、若い選手が上位を独占したセルデンGSだが、今季は20代後半から30代の経験豊富な選手が意地を見せたレースとなった。

 

 表彰台には経験豊かなベテランたちが並んだ


優勝したレーベンスブルクの通算勝利数はこれで14。セルデン開幕戦では2度めの勝利だ。2010年に記録した前回の優勝が彼女にとってのワールドカップ初優勝となるが、そのときもこの日3位のメルクが3位でともに表彰台に上っている。昨シーズンは腰痛のために開幕戦を欠場。その後も本来の滑りはなかかなか取り戻すことができず、3位が1度あるだけの苦しいシーズンを過ごしてきた。それでもワールドカップスタートリストでは7位の座を死守し、この日は1本目1番スタートでコースに飛び出していった。

「開幕戦はいつも難しい。夏の間自分がやってきたことが正しいのか、マテリアルのセットアップは間違っていないのか、不安の中で準備をしなければいけないからだ。でも今日の滑りでその答えが出た。2位でも3位でも、表彰台に立つのはいつも嬉しいが、その一番上に上るのは特別な気分だ」とレーベンスブルク。
「勝因は夏の猛練習。コーチ、フィジオ、サービスマン‥ハードワークを支えてくれたすべての人に感謝したい」と言葉を継いだ。

 優勝したヴィクトリア・レーベンスブルク


テッサ・ウォーレーは、レーベンスブルクと同じ1989年生まれ。昨シーズンは初のGS種目別優勝を果たしており、チャンピオンとして臨むシーズン最初のレースを2位という好スタートだ。1本目は6位と出遅れ「自分にとっても腹が立った」という。2本目はベストタイムをマークする貫禄の滑りで猛追。レーベンスブルクに0秒14差にまで詰め寄った。

「1本目の滑りがあまりに不甲斐なかったので、2本目は限界までアタックしないと上位に食い込めないと思った。2本目の滑りには満足している」とホッとした様子で語った。

 昨シーズンのGSチャンピオン、テッサ・ウォーレーは2位


1本目でベストタイムをマークしたメルクは、3位入賞。ワールドカップレーサーとしては最年長の34歳で、これまでに3回の優勝経験を持つが、それらはいずれもスラロームでの勝利だった。15年のワールドカップ生活でも、GSではこれがまだ3度めの表彰台となる。ふたつ違いの兄マンフレッド・メルクも未だ現役で活躍中だ。
「1本目でトップに立ったのは自分でも意外だった。2本目はタフなコースだったが、表彰台に残ることができたのでとても嬉しい」
イタリア女子チームは、とくにGSで多くのトップ選手がおりチーム内の競争が激しい。
「メンバーが互いに刺激しあい、激しく競いあっているのが今のイタリアチーム。そんななか、シーズン最初のレースで結果を出せたのは、平昌五輪に向けて大きな前進だ」と喜んだ。

 3位は出場選手中最年長のマニュエラ・メルク


注目のミカエラ・シフリン(アメリカ)は1本目2位と順調な滑り出し。しかし2本目は中盤の急斜面で大きなミスを犯しタイムを失った。逆転優勝を狙ってのアタックだっただけに悔しいレース。ゴールではうつむいて頭を抱えるという、彼女としては珍しい仕草を見せたのが印象的だった。
 

 ワールドカップ初入賞の安藤麻

 

安藤麻は、納得のレースで開幕戦25位。2本目に残ったのは初めてのことで、ワールドカップポイントの獲得ももちろん初。おまけにゴールした時点ではトップに立ち、ごく短い間だったがリーダーボードの前に立つという嬉しい経験もした。
1本目ゴールした段階では25位。
「すごく微妙なポジションだったので、押し出されるんじゃないかと心配で仕方がなかった」という。実際後から滑った選手4人に抜かれたものの、何とか29位に踏みとどまり2本目に進んだ。2本目は2番スタートという好条件。最初に滑ったエレナ・クルトーニ(イタリア)のタイムを上回り、グリーンライト(緑色のタイム表示)でゴールした。
「早くリーダーボードの前に立ちたくて、大急ぎでボードに向かった」と安藤。次のラウラ・ピロヴァノ(イタリア)に抜かれたので、ほんの短い間だったが、彼女としては嬉しい数分間だった。
「2本目の前にはいろいろなことを考えた。せっかく残ったのだからゴールしてポイントを取っておこうという気持ちになりがちだけど、完走することばかりを考えたら絶対に後悔するだろうなと思った。駄目なら駄目で、次にまた残ればいいやと割り切ることにして、やっぱり攻めることにした」とスタート前の心境を語った。
「滑りは少し固かったかもしれないけど、でも守りに入らず滑れたことはよかった。結果的にポイントも取れたし」。

余談だが、1本目33番スタートの安藤の前に滑ったのは、リンジー・ヴォンだった。ワールドカップ77勝の史上最強女王の直後にスタートするのは、どんな気持ちだったのだろう?
「それはまったく意識しなかった。もちろん彼女の存在は認識していたけど、特別オーラを感じることもなく、圧倒されることもなかった」
それは自分の滑りに集中していたということ?
「そうだと思う。あっ、でも少しは緊張したほうがよかったんですかね?」
と安藤はあっけらかんと答えた。

 

 1本目終了後の日本チーム。次のレヴィSLでは長谷川絵美、石川晴菜の奮起に期待したい

 

 

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