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ワールドカップのその後で

 10月29日に行なわれるはずだった男子のGS第1戦は、残念ながら悪天候のため中止となりましたが、翌30日(月)は、完璧な晴天。ところが勢い込んで朝早くから山に上ったものの、いつまでたってもゴンドラが動きません。強風が雲をどこかに吹き飛ばしてくれたのはいいのですが、調子に乗ったのか、その風がいつまでもやまないのです。11時近くになってようやく運行開始。この日はフィッシャー、アトミックのそれぞれのデモチームのスキーテストを撮影させてもらいました。日が落ちるまでのわずかな時間で、ふたつのチームをそれぞれ違うシチュエーションで撮らねばならず、かなりタイトな進行となりましたが、スキーヤーの方に協力していただき、ギリギリで撮影完了。青空に恵まれ、また午後からは光も柔らかくなり、フィッシャー、アトミック両チームとも、きれいな写真を撮ることができました。

ゴンドラ山頂駅からの風景


 合間には、アイスボックス(セルデンの代表的なトレーニングバーン。各国ナショナルチームのポールが林立する、氷河トレーニングの聖地のようなコース)で練習する日本チームとも遭遇しました。34歳の湯浅直樹を筆頭に、16歳の相原史郎まで全部で7人がスラロームのゲートトレーニング。これだけの人数で一緒にトレーニングするのは、ここ数年では珍しいのではないでしょうか。ほとんど時間がなく、選手たちとは立ち話をする程度でしたが、みな怪我もなく頑張っていました。標高が高く、しかもこの日は45秒程度のスラロームをすべてタイム計測も行っていたため、全員フルガスでアタック。ゴール後は大きく肩で息をするほどのハードな練習でした。

前日のGS第1戦に出場予定だった大越龍之介と加藤聖五のふたりは、中止になってしまって、本当に悔しそうでした。とくにワールドカップ初出場となるはずだった加藤は、デビュー戦に意気込んでいただけに、不運な悪天候でした。それでも、照準はすでに次のレースに向けて気持ちを一新。他の選手たち同様、スラロームの練習に打ち込んでいました。

 そのスラローム第1戦が行なわれるレヴィ(フィンランド)には6日に移動する予定。湯浅と大越龍之介の出場は決まっていますが、もうひとつある国枠で誰がエントリーされるかは未定。おそらく週明けにも発表されるのではないでしょうか。

大越龍之介(東急リゾートサービス)

加藤聖五(野沢温泉スキークラブ)

アイスボックス。その名の通り日陰の凍りついたバーンでトレーニングには最適


 慌ただしく撮影を終え、夕方からは約350kmの移動。フィッシャーの本社工場のあるリートという町に向かいました。行程の3分の2は高速ですが、オーストリアのアウトバーンはほとんどが制限速度100km。スピードを上げることもできず、眠気と戦いながらのドライブでした。ところがレンタカー搭載のナビは、突然予定よりもかなり手前で高速を降りることを指示。そこからの約2時間、ナビはひたすらけもの道、農道、生活道路、抜け道、裏道を指示し続け、一瞬も気が抜けない過酷な道のり。真っ暗な山道で突然通行止めのバリアが現れるなど、久々にエキサイティングなドライブを堪能しました。おかげで眠気を感じる暇などなく、夜9時過ぎに無事到着。翌日はフィッシャーの工場取材と、ブーツ開発者のインタビューを行なった後ミュンヘンへ戻り、夜8時の飛行機で帰国の途につくという、かなりの弾丸スケジュールでした。

名機 『C4』とともに、フィッシャー本社に飾られているフランツ・クランマーの勇姿



 次の出発は11月9日。ヘルシンキ経由でレヴィに向かい、男女のスラローム第1戦の取材です。それまでに片付けなければならない仕事も山積しており、シーズン開幕と同時に、いきなり忙しくなりました。

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