マティアス・ハルギン
FISのオフィシャルページで、レヴィのスラローム第1戦で3位に入賞したマティアス・ハルギン(スウェーデン)をとりあげています。フェリックス・ノイロイター(ドイツ)とヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)の優勝争い、そして1本目でトップに立ちながら2本目の急斜面で散ったデイヴ・ライディング(イギリス)、足首骨折かわわずか3ヶ月で強行出場したマルセル・ヒルシャー(オーストリア)らの印象が強かったレースですが、32歳のベテラン、ハルギンもなかなか味のあるレーサーです。
彼にとっては、2年半ぶり通算7回目のワールドカップ表彰台(パラレルスラロームを除く)。映像のなかにもある通り、スウェーデンの首都ストックホルム生まれ。小さい頃から近くの小さな山で滑っていたため、必然的にスラロームが得意になったそうです。その後、スウェーデン最大のスキー場があるオーレのスキーアカデミーに進学。ここでの活躍が認められて、ナショナルチームにピックアップされました。 現在の彼は、典型的なスラローマー。2015シーズンにはキッツビュールのスラロームで優勝しましたが、ワールドカップではこれが唯一の勝利です。ただ、地元ストックホルムで行なわれたパラレルスラロームでは見事3位に入賞しています。
ここでは触れられていませんが、昨年春にフリーライドスキーのチャンピオン、マチルダ・ラパポートと結婚しました。スキーが大好きで、スキーを職業とし、そしてスキーを通じて知り合ったふたりは、周囲の祝福のなか新たな人生をスタートさせたのです。ハルギン自身もオフシーズンには、レースコースを離れ大自然のなかでフリーライドを楽しむスキーヤー。こんな素敵なフィルムにも出演しています。
Haglöfsが2013年に作ったプロモーションビデオ
ところが昨年10月、マチルダはチリでスキーフィルムの撮影中雪崩に巻き込まれて死亡するという悲劇が起こりました。結婚からわずか3カ月での出来事でした。
昨シーズンは、6位に3回なったのが最高。深い悲しみの中で戦ったレースとしては、素晴らしい成績ですが、しかし彼本来の調子ではありませんでした。 「スラロームはいつだって難しい。調子は上ったり下がったりだから、今日3位に入れたことは、自分でもびっくりしているよ」 1本目12位から、2本目のセカンドベスト・タイムで3位に入った今季開幕戦を振り返り、彼はこんな風に語っていました。
個性的なレーサーがひしめくなかでは、物静かなタイプ。少し地味な存在でもあるかもしれません。でもその滑りはいつも攻撃的で気持ちがこもっています。何となく応援したくなる選手のひとりです。
