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五輪切符をかけた熱い戦い。 年末は全日本スキー選手権大会に注目

  例年、シーズンの締めくくりとして3月に行われている全日本スキー選手権大会が、今季は12月末に前倒し開催される。この大会が平昌五輪の代表選考会を兼ねることになったからだ。従来、アルペン競技ではワールドカップ及びヨーロッパカップでの成績を基準に、五輪代表選手が選ばれてきた。平昌五輪に関しても、もともとは「直近2シーズンの間にワールドカップ及び世界選手権で8位以内1回、もしくは20位以内2回」が選考基準だった。だがこの夏、全日本スキー連盟(SAJ)は、全日本スキー選手権の男女ジャイアント・スラロームとスラロームのそれぞれの勝者に平昌五輪の出場権を与えることを決定。これによってトリノ五輪(2006)を最後に途絶えていた女子選手の派遣も復活する。バンクーバー(2010)、ソチ(2014)とも男子2名のみの派遣だったが、平昌五輪では全日本スキー選手権勝者とワールドカップ基準をクリアした選手、つまり最大で4+α名が平昌行きの切符をつかむことになる。もっとも、SAJから発表された文書では「各種目の優勝者の派遣をJOC(日本オリンピック委員会)へ推薦する」という、やや曖昧な表現になっているが、実質的には優勝者が五輪に出場できると読みかえてもよいだろう。  全日本選手権を選考基準に加えるのは、スキー競技のなかでもアルペンのみの特別措置で、これは相当思い切った改革といえる。前回まで何かとすっきりしなかった代表選考を、“恨みっこなし”の一発勝負で決めるというのはきわめて単純で明解。女子の派遣についても同様で、競技本部長とアルペン部長を兼任する皆川賢太郎SAJ理事が主導する、スピード感あふれる改革の一環といえるだろう。低迷からの出口がなかなか見つからなかった日本のアルペン界に、かすかな光が指してきた予感が。さらにまだ確定ではないが、テレビ中継が入るという情報もあり、アルペンファンならば注目しないわけにはいかない重要なイベントとなる。  会場の国設阿寒湖スキー場は、アルペン競技に力を入れており、人工降雪機に加え、コースに水を注入して硬く凍らせるインジェクションシステムを導入。国内有数のコースコンディションを誇るスキー場だ。大事な決戦に向けては、最高のレースコースが用意されることだろう。

すでに選考基準をクリアしている湯浅直樹


 現時点でワールドカップでの基準をクリアしているのは、昨シーズンのスラローム第3戦で7位となった湯浅直樹(スポーツアルペンSC)ただひとり。他の選手にも、まだワールドカップでの基準クリアの機会は残されているが、それが叶わなかった場合は、全日本選手権に最後の望みを賭けることになる。文字通り、その後のスキー人生を大きく左右する大一番の戦いだ。日程は12月26日に男子GS、27日女子GS、28日男女スラローム。”オリンピックFISポイントリストで500位以内かつ140ポイント以下の選手”という制限はあるものの、オリンピックへの道はナショナルチームメンバーだけでなく、多くの選手に開かれている。平昌五輪はもちろん楽しみ。だが、その前に誰が五輪切符を獲得するのか、全日本選手権にもぜひ注目してほしい。


3大会ぶりに女子選手も日本代表として派遣される。平昌行きの切符をつかむのは果たして?


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