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全日本選手権GS 石井智也圧巻の滑りで平昌当確

 第96回全日本スキー選手権大会アルペン競技会が、今日から始まりました。懸念された爆弾低気圧の影響も、ここ国設阿寒湖畔スキー場にはほぼ関係なく、国内大会としては最高レベルのコースでスリリングなレースが展開されました。

 ナショナルチームのコーチが中心となリ、各地域のコーチも総出で作り上げた大会コースは、前日の雨&湿雪にも関わらず、素晴らしいコンディションを保ち、加えてこの日の冷え込みもあって硬く氷結。最後までほとんど荒れることのないフェアなレースとなりました。 ここで優勝した選手が平昌五輪の代表選手候補に推薦される(現時点での代表決定ではありませんが、ほぼ当確と言って良いと思います)という初めての試み。一発勝負で代表を選出する緊張感が、想像以上にレースを盛り上げたという印象です。


石井智也(ゴールドウィンSC)は2本ともベストタイムで文句なしの優勝


 1本目は、17番目にスタートした石井智也(ゴールドウィンSC)が、ただひとりの54秒台をマークし54秒50。2位の成田秀将(ミキハウス)に0秒56の差をつけてトップに立ちました。ふたりとも今季はナショナルチームの強化指定から外れ、プライベートで戦う選手です。3位からは若い世代、いわゆるターゲットアスリートと呼ばれているナショナルチームジュニアの選手たちが僅差で並ぶ展開。3位小山陽平(日本体育大学)、4位加藤聖五(野沢温泉SC)、5若月隼太(近畿大学)、8位松本達希(早稲田大学)がいずれも生きの良い滑りを見せてくれました。対照的にナショナルチームの大越龍之介(東急リゾートサービス)は、石井から1秒43遅れの10位と出遅れ、やや気負った印象の固い滑りでタイムを伸ばせませんでした。


大越龍之介(東急リゾートサービス)は1本目の遅れが響き3位にとどまった

 コースは標高差258mで1本目38旗門(35ターン)、2本目35旗門(34ターン)という設定。押切敬司(1本目)、安食真治(2本目)と、ともに過去に全日本選手権で優勝経験を持つGSの名手によるセットです。五輪代表を決めるにふさわしい、スムーズな旗門構成だったといえるでしょう。極端な急斜面はないものの、全体的に幅の狭い圧迫感のあるコースは、斜面変化も豊富で、とくに中盤過ぎのマリモコブと呼ばれるウェーブの部分をどう処理するかで、タイムが大きく左右さ れたようです。  2本目は大越が意地を見せました。21番目にスタートし、それまでのベストタイムを大きく上回る52秒95をマークしてトップに立つと、その座を長い間誰に譲りませんでした。しかし、1本目2位の成田に抜かれ最終的には3位。五輪への夢は最終日のスラロームにかけることになりました。


切れの良い滑りを見せた成田秀将(ミキハウス)だがわずかに及ばなかった

 その成田は、今季の戦いの場をアジアに求め、ファーイ―ストカップに参戦。スラロームは1位2回、2位2回でランキングトップ。GSはヨーロッパからの参戦組に押され気味ですが、総合でも現在首位を走っています。従来よりも身体を絞り、滑りのキレを増して臨んだ全日本選手権。不本意に終わった昨シーズンからの復調は見せたものの、今日のところはわずかに届きませんでした。  石井は2本目もぶっちぎりのベストタイムを記録しました。合計タイムでは成田を1秒61も上回る文句なしの勝利です。海外遠征から帰国してわずか5日目のレースでしたが、ヨーロッパ並に仕上げられたこのコースでの速さは、やはり群を抜いていました。この4シーズン、冬のほとんどをWRA(ワールド・レーシング・アカデミー)というイタリアをベースとするプライベート・チームに所屬し、ヨーロッパで戦い続けてきた石井。実力はありながら年齢とFISポイントとの関係で強化指定からは外れるシーズンが多く、また昨シーズンは怪我で途中離脱するなど成果よりも苦しいことの多い日々が続いてきましたが、諦めず挑戦し続けたことが平昌五輪への切符につながりました。まずは、本当におめでとうと言いたい見事な勝利だったと思います。


着々と進化中の加藤聖五(野沢温泉SC)は4位

36番スタートから5位に入った若月隼太(近畿大学)

6位は 昨年行われたアジア選手権でGS金メダルの小山陽平(日本体育大学)

8位の松本達希(早稲田大学)

 さて、明日は女子のGSです。今季は腰の故障に悩むエースの長谷川絵美(サンミリオン)が意地を見せるのか、ワールドカップ開幕戦で25位に入った安藤麻(東洋大)の勢いが勝るのか、あるいはナショナルチーム外ながらファーイースト・カップのGSと総合でランキングトップこ立つ向川桜子(秋田ゼロックス)が、スロヴェニア武者修行の成果を発揮するのか、こちらも見どころ満載のレースです。

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