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全日本スキー選手権女子GS 重圧に耐え石川晴菜が優勝

 第96回全日本スキー選手権大会2日目の競技は女子のジャイアント・スラローム。男子と同じスタート、同じゴールを使って行なわれた“日本一決定戦”は、前日の男子に劣らず緊迫した面白いレースとなりました。


冷え込んだがほぼ無風のコンディション。最高のコースでレースは行なわれた


 優勝は石川晴菜(木島病院)。ナショナルチーム所屬の23歳で昨シーズンからワールドカップにスポット参戦中です。ただし、まだ世界の壁の前でもがいている段階で、過去4レースに出場し、いずれも2本目に残ることができませんでした(他にコンデイション不良のため1レースでDS)。ワールドカップの大舞台では、自分の本来の力が発揮できず、したがって思うような滑りができず不本意な結果続き。ゴールでの彼女の目からは、いつも悔し涙があふれていました。

 写真は今季のGS開幕戦1本目終了後の日本チーム、初のワールドカップ2本目進出を喜ぶ安藤麻(東洋大学)と、それを我が事のように喜ぶ長谷川絵美(サンミリオンSC)にはさまれる石川。高校の後輩安藤の快挙を祝福してあげたいけれど、でもやっぱり自分の滑りが悔しくてたまらないという表情が印象的でした。

 その後もあまり調子が上がらな買った彼女は、ワールドカップ中心に回る長谷川と安藤とは離れ、中国でのファーイースト・カップに回りました。こちらでは何度も表彰台には立つものの、優勝はなし。安藤や、強化指定外ですが今季好調の向川桜子(秋田ゼロックス)らには、どうしても勝てませんでした。


1本目のリードを守りきり、見事に平昌行きの優先乗車券?を手にした石川晴菜


 ところがこの日は突然の大変身。1本目、目の覚めるような滑りでベストタイムを記録すると、2本目もそのリードを守りきっての優勝。長谷川は1本目の出遅れが響き、2本目ベストタイムも、合計ではコンマ5及ばず3位。優勝候補筆頭と見られていた安藤麻も、今ひとつリズムがつかめない滑りで2位にとどまりました。そして、その滑りが注目されていたもう一人の有力候補向川は、1本目のスタート直後に右スキーが外れるという不運なアクシデントがあり、ほとんど戦わずして消えていきました。

2位安藤麻(東洋大学)


3位長谷川絵美(サンミリオンSC)

 2本目を待つ間、彼女を追う長谷川と安藤からのプレッシャーは、相当強いものがあったはず。技術は素晴らしいのにメンタルで負け、自分の力が発揮できないことの多かった彼女が、押し寄せる重圧のなか、見事にトップの座を守り抜いたことは、とてつもなく大きな意味を持つ経験だったと言えるでしょう。

 多くの人にとって予想外の勝利でした。でも誰もが納得する、そして誰もが心から祝福する勝利でした。優勝が決まった瞬間の彼女は、やはり泣いてしまいましたが、そんな石川の嬉し涙を見て、これまでの彼女の苦労を知る人の多くがもらい泣き。第96回全日本スキー選手権の女子GSは、そんな感動的なレースでした。

晴れやかな笑顔で優勝スピーチをする石川晴菜

左から1位:石川晴菜 2位:安藤麻 3位:長谷川絵美 4位石橋美樹 5位:荒井美桜 6位川浦あすか


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