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名スラローマーが語るレヴィSL攻略法

November 16, 2018

今日はメディア関係者(カメラマンではなく主に記者たち)を対象にしたTrack Walkという催しに参加してきました。Track(レースコース)を、Walk(歩いて)視察するというもので、まだポールはセットされていませんでしたが、いわばメディア向けのコースインスペクションです。すべてのワールドカップ会場で行われているわけではありませんが、報道関係者へのサービスの一環として開催している会場がいくつかあるようです。


ふだん私がこういうイベントに参加することはありません。思い出す限り、カール・シュランツに連れられて滑降コースを降りた1982年のウェンゲン大会が唯一の経験です。コース上で写真を撮ろうとすれば、どんなに恐ろしいコースでも撮影ポジションまで滑り降りなければならないので、必然的にコースの特徴には詳しくなります。レヴィのスラロームコースも過去に何度も撮影しているし、だいたいのことはわかっているつもりでいました。今回も別に参加しようと思って参加したわけではなく、詳しい経緯は省きますが、気がついたらその場にいた、という感じです。

 

でも結論から言うと、参加してよかったという印象です。タニア・ポウティアイネン(昨日の記事にも書きましたが、かつてのフィンランドチームのエース。2004年に行なわれたレヴィ最初のワールドカップレースで優勝した名選手です)が、自分の経験を踏まえてコースのポイントポイントについて解説してくれたからです。なるほどな、と思うこと多数。以下、その内容を簡単にまとめてみました。

 

 タニア・ポウティアイネンはワールドカップで通算11勝をあげたフィンランド最強のレーサー。2014年に引退した

 

 

「このレヴィのスラロームは例年約70ターンで行なわれます。それに対して所要タイムは1分足らず。つまり1回ターンするのに1秒もかからないわけです。それだけの速いリズムで競うのが現在のスラローム競技です。そしてパーフェクトなターンを70回、ミスなく連続させなければ勝つことはできません。スラロームがどれだけ厳しい競技かおわかりいただけるでしょう」

 

「コース前半の特徴は、斜度は急ではないものの、大きなローラー(うねり)が4箇所もあることです。テレビでみているとほとんど気が付かないと思いますが、実際にこうしてコースに立ってみると、けっして単純な地形ではないということが理解できると思います」

 

うねり(ローラー)を越える湯浅直樹(2013/14シーズン)

 

 

「とはいえ、他のワールドカップSLコースと比べて、この斜面自体がむずかしいわけでもありません。難易度を決めるのはコース・セッティングです。私の印象では、例年以上にローラー部分の斜度変化がきついと感じます。したがって、セッティング次第では小さくジャンプすることさえあるでしょう」

 

「スピードは、雪の状態にも左右されます。アイスバーンになればなるほどスキーは滑りますが、その分、ターンが難しくなるのも確かです。ミスをすれば当然タイムを失ってしまいます。ですからインスペクションがとても大事。たとえばこのローラーにどのくらいのスピードで進入するのかを予測し、どんなラインを取るべきか、あるいはどこにターンをするスペースを見つけるかを、予めイメージしておかなければなりません」

 

 スタートから見るコース前半部。中斜面と緩斜面が交互に連続する(写真は2014/15シーズン)

 

「スタートも、このコース攻略の大きなポイントといえるでしょう。急斜面からのスタートではないので、いかに自分の力をつかって早くトップスピードに乗せるかが大事です。アグレッシブに行かなければなりませんが、同時にその動作はスムーズでなければなりません。コースがフラットなだけに急激にプレッシャーを与えると逆にスピードを失ってしまうからです。大きく分けると、スタートには2つのタイプがあります。たとえばマルセル・ヒルシャーのようにアグレッシブに身体を動かしてスピードに乗ろうとするタイプ。そして上半身の動きは小さくして、いち早くリズムを作って最初のローラーに入ろうとするタイプです。明日のレースでは、そんなところにも注目すると面白いでしょう」

 

「中間すぎからは急斜面に入りますが、その直前にもローラーがあります。いつもより角度がシャープですが、ここがどんなセッティングとなるかとても興味深いですね。場合によっては多くのレーサーが罠にはまるのではないでしょうか。スラロームはそれほどスピードが出るわけではありせんが、それでもここに直線的なゲートがセットされると、レーサーは小さくジャンプするかもしれません。写真的には面白いアクションが見られるでしょうね」
「急斜面に入ると大きくリズムが変わります。それまではどんどんスキーを走らせるパートでしたが、ここからはより正確なターンが求められます。緩斜面のリズムのままで来ると、スキーに身体がおいていかれるので、意識して身体を前に持っていくことが大事です。でも、本当に勝負を分けるのは、急斜面の最後の数ターンです。フラットになってからゴールまではさらに10ターンくらいあるはずですが、そこに急斜面からのスピードをスムーズにつなげることがもっとも大事なポイントなのです。急斜面でのミスは、比較的取り戻しやすいのですが、緩斜面の手前でミスしたら致命的。ゲームオーバーです。勇敢でなければなりませんが、慎重でなければなりません。頭をつかう必要があるのです。馬鹿げたラインで突っ込んでも、勝利は逃げていくだけです。私自身も、ゲームプランを立てるときには、このことをとても重視していました」

 

 Track Walk参加者はアイゼンをつけて歩いた。後半の急斜面を降りるのは滑落の危険があるため、ここまでで終了

 

 上の写真とほぼ同じ場所に立つ皆川賢太郎(2009/10シーズン)

 

 

「ゴールが近づいてくると、会場から大きな歓声が沸き上がります。でも私には何も聞こえていませんでした。選手にもよるのでしょうが、私はレースに集中しているときには、すべての音が消えています。そしてフィニッシュラインを横切った瞬間、まるでラジオのスイッチが入ったかのように、あらゆる音が耳に入ってきます。そしてそこで気がつくんです「私はひとりではないんだ」って。奇妙なことに、スタート地点はとても静かです。特に1本目でトップに立った選手は孤独です。周りにはもう選手はだれもおらず、スタート係とサービスマンがいるだけ。静かな分。プレッシャーも大きくなるわけです。ですから無事2本目をゴールしたときの開放感は、なんとも言いようがありませんね」

 

コースの全景とコースプロフィール。最大斜度52%は、斜度に直すと約27.4度だ

 

 

「今年の暖かさは、少し異常ですね。2004年、ここで初めてワールドカップが行なわれたときは、11月ではなく2月開催だったのですが、マイナス32度まで気温が下がりました。2008年からは現在のように11月の開催となりましたが、さすがにそこまで寒くなくても、例年気温はマイナス。ところが今年は、連日プラスの気温が続いています。したがってコースはアイスバーンとは言えません。明日はかなりコースが荒れることが予想されますが、そんななかでどのようなレースが展開されるのか、とても楽しみです」

 

 雪があるのはレースコースのみ。暖気のために霧が発生し、視界もきかなかった(今回撮影)

 

 

 

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