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男子SLは今季もヒルシャーvs.クリストッファーセン

男子ワールドカップは、昨シーズン最終戦のスラローム(オーレ/スウェーデン)、そして今季開幕戦のGS(セルデン/オーストリア)と、シーズンをまたいで2レース連続で悪天候のために中止となってきました。昨シーズンが何となく尻切れトンボで終わり、今シーズンも女子GSのみ行なわれたので、始まったのか始まっていないのかよくわからない、中途半端な状態だったのです。しかし、今日は無事男子スラローム第1戦が行なわれ、これでようやく本格的に2018/19シーズンが開幕したことになります。

前日の女子スラロームでもそうだったのですが、コースコンデイションはほぼ完璧でした。何人かの選手からは、「少しラフだった」という声も聞こえてきましたが、暖かかったうえに雨も降ったこの10日間ほどの天候を考えれば、信じられないほど硬くパックされたアイスバーンでした。

したがって、遅いスタート順の選手にも2本目進出のチャンスが生まれ、実際この日は64、74、75番と、通常ならばあまり考えられないビブナンバーをつけた選手が2本目に残っていました。とくにこれまではまったく無名だったアルバート・ポポフ(ブルガリア)は75番スタートから1本目22位。2本目でさらに順位をあげて20位でフィニッシュするというめざましい活躍を見せました。彼にとっては、11回目のワールドカップ挑戦で初めてのポイント獲得です。

日本選手は成田秀将(カワサキフィールドSC)、大越龍之介(東急リゾートサービス)、加藤聖五(野沢温泉SC)の3人が出場し、いずれも1本目で敗退。成田と加藤は急斜面前半でコースアウトし、大越は粘りに粘ってゴールはしたものの45位(+2秒88)という順位でした。

加藤聖五

大越龍之介

成田秀将

結果から見れば、実りの少ないレースだったように思えます。次の北京五輪へと向かう新生ナショナルチームとして期待も大きいだけに、シーズン最初のレースで誰も2本目に進めなかったのは残念でした。

ただ、シーズンはまだ始まったばかり。全体を俯瞰しつつ、目先の結果に一喜一憂せず、信じた道を進むべきでしょう。 たとえば、これが自身初のワールドカップとなった加藤聖五の滑りは、なかなか堂々としたものでした。第2中間計時を21位、トップのマルセル・ヒルシャーからわずか0秒56遅れのタイムで通過し、素晴らしいスピードに急斜面に飛び込んできました。第1計時から第2計時までのスプリットタイムは全体の3位。初めての大舞台に萎縮することなく、自分の力をぶつけたことがうかがわれます。その勢いをゴールにまでつなげられなかったことは反省材料でしょうが、本人としても手応えを感じたデビュー戦だったと思います。

加藤聖五のPerformance Analysis(タイム分析)

大越龍之介のPerformance Analysis(タイム分析)

成田秀将のPerformance Analysis(タイム分析)

ここでは、大越と成田のタイム分析も紹介しますが、スタートから続く中・緩斜面の遅れを除けば、一定の評価はできる滑りだったのではないでしょうか。 ふたりは、活動の拠点としているインスブルック(オーストリア)に戻り、一方、加藤はこの後も北欧に残り、FISレースとヨーロッパカップに出場します。このシリーズには、ナショナルチームを外れている石井智也(ゴールドウインSC)も参戦予定。ともに競い合いながら、より高いレベルへのステップアップを狙います。

マルセル・ヒルシャー


ヘンリック・クリストッファーセン

アンドレ・ミューラー

さて、レースの方は実力者が順当に上位に並びました。優勝マルセル・ヒルシャー(オーストリア)、2位ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)、3位アンドレ・ミューラー(スウェーデン)。これは昨シーズンのスラローム種目別順位とまったく同じです。ただ、1位と2位のタイム差が100分の9秒だったのに対し、2位クリストッファーセンと3位ミューラーのタイム差は1秒32と大きく開いており、スラロームにおけるヒルシャーVS.クリストッファーセンの争いが、他を圧倒してハイレベルであることを改めて証明したと言えるでしょう。 このふたりにもっとも近づいたのが、フランスの新鋭、クレモン・ノエル。1本目はヒルシャーに0秒38、クリストッファーセンに0秒31差の3位につけていましたが、2本目ゴール前、大きなうねりの上に立てられたヘアピンゲートの罠にかかり致命的なミス。直前の途中計時では3位のタイムを記録しており、惜しいレースを失いました。


また、昨シーズンのこのレースで優勝したフェリックス・ノイロイター(ドイツ)が、大会2日前のトレーニング中に右手親指を骨折したために欠場。昨年はレヴィの直後に膝を痛め、シーズンの大部分を棒に振っていたノイロイターですが、復活に向けて厳しいトレーニングを積んできただけに残念なアクシデントでした。


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