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パントュロー盤石の滑りでセルデン2連勝

2年連続の悪天候中止の後、3年ぶりに行なわれたセルデンの男子GS開幕戦。やや風は強いものの、きれいに晴れ上がった青空のもと、レースは緊迫の展開で進みました。

1本目のベストタイムは、3年前のこのレースでも優勝しているアレクシー・パントュロー(フランス)。優勝候補の筆頭に挙げられていましたが、そうした評価にふさわしく、ほとんどミスのない安定した滑り。選手たちがよく使う表現を借りれば“ソリッド(solid)”な滑りでした。100分の2秒差でチームメイトのマチュー・フェイブラが続き、3位はスイスの新鋭マルコ・オーダーマットが0秒33差。もうひとりの注目選手、ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)は、0秒80を失って10位に沈みました。

1本目ベストタイム。2本目も危なげない滑りで開幕戦を制したアレクシー・パントュロー

日本からは、ただ一人加藤聖五(野沢温泉スキークラブ)が出場し、1本目4秒49差の60位。残念ながら午前中でレースを終えました。GSとしては初めてのワールドカップ。55番というスタート順では、スキーのコントロールが難しく、特に急斜面で思う滑りができなかったことを悔やみます。レース後の本人は、かなり落胆した様子でしたが、過去の例から考えれば、けっして絶望的なタイム差ではありません。巻き返しに期待したいと思います。


前半は34位のスプリットタイムで通過したが、中盤以降の遅れが響いた加藤聖五

2本目はコース中盤の急斜面が日陰となり、選手にとってはかなり厳しい条件だったようです。さんさんと陽光の当たる上部の緩斜面から、いきなり暗い急斜面へ。気温の上昇もあり、コースは微妙に荒れていたため、なおさら難しさは増しました。2本目に関していえば、この急斜面での滑走ラインが、ほとんどすべてだったように思います。

パントュローは再びソリッドな(確実で揺るぎない、というような意味で使われています)滑りを完成し、フェイブラとのタイム差をさらに広げて優勝。昨シーズンの最終戦に続くこの種目2連勝、かつセルデンでも2年間の空白をはさんで2連勝となります。 「シーズン最初のレースは、長い間準備を重ね、精神的にも新しいモチベーションを持ってスタートする。だから、ここセルデンのレースは、いつも特別なんだ。そして今日はマチューと一緒に表彰台に立つことができた。最高の気分で山を降りることができる」とパントュロー。マルセル・ヒルシャーの引退で空位となった総合チャンピオンへの有力な候補者である彼とっては、これ以上はない好スタートだと言えるでしょう。

2位のマチュー・フェイヴラは、昨シーズンのザールバッハ以来の好成績。過去に1度優勝しているものの、表彰台の常連とまでは言えない彼にとっては、嬉しい2位だったはず。2本目はコースの凹凸がよく見えず苦労したようですが、必死に急斜面にへばりつき、ラインを死守しました。ゴールした時点では、ベストタイム。今年の夏、ひどい腰痛で苦しんでいただけに、喜びを噛みしめるような静かなガッツポーズで観衆に応えました。 日本のファンにとってフェイヴラは、2016年の苗場大会GS2位の成績(そういえば、このときも優勝はアレクシー・パントュローでした)で知られているかもしれません。でも、一般的には、彼自身のレース成績よりも、むしろミカエラ・シフリンの恋人として話題に上ることの方が多かった選手です。ふたりの蜜月は、SNS等での投稿しばしば見ることができたのですが、そのシフリンとは今季開幕直前に突然の別離。約2年間の恋人関係に終止符を打ちました。それでも集中力を切らさず、自身2番目の好成績。昨日のシフリンと同じ2位というのも、なんとなく因縁めいてはいます。

3位のジャン・クラニエツ(スロヴェニア)も、セルデンを得意とする選手です。3年前のこのコースではパントュロー、ヒルシャーに次ぐ3位。彼にとっては初めての表彰台でした。そして昨シーズンはザールバッハでワールドカップ初優勝、最終戦ソルデウでも3位と好調を維持しての開幕。これまではほぼGSに専念していましたが、今季はスラロームやスーパーGにも取り組むそうです。ワールドカップを盛り上げる中心選手の一人となるかもしれません。


フランスが1、2位を占め、3位スロヴェニア。地元オーストリアは男女とも表彰台に上れなかった


ところで、このレースの2本目のベストタイムをマークしたのは、ノルウェーのルーカス・ブローテンです。まだ19歳の無名の新人ですが、この日出場した9人のノルウェー選手の中での最高位。1本目40番スタートから23位につけると、2本目8番スタートという好条件を生かして、一気に5位にまで上昇しました。ワールドカップレベルでは無名ですが、ヨーロッパカップでは知らないもののいない注目株。昨シーズンのヨーロッパカップGSチャンピオンです。彼に限らず、ノルウェーチームは、若い世代に有望選手が目白押し。男女ともに注目すべきチームと言えるでしょう。

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