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ウェンゲン(スイス)

Wengen(SUI)

 ウェンゲンは、スイスのベルナー・オーバーラント州、氷河の流れによってえぐりとられた深い谷間を見下ろす標高1200m地点にある。急斜面にへばりつくようにして開かれた村は、19世紀から山岳リゾートとして発展。現在ではヨーロッパを代表する高級リゾートとして、年間を通じて多くのツーリストが訪れる。アイガー、ユングフラウ、メンヒ等4000m級の名峰に囲まれ、どちらを向いてもすばらしい絶景が迫ってくる。数あるワールドカップ会場の中でももっとも美しいリゾートと言って間違いなく、その圧倒的な迫力に感動しない人はいないだろう。https://www.youtube.com/watch?v=_54qbTowOjE

 麓からこの村に通じる交通機関は登山電車のみ。ガソリン自動車の乗り入れは禁じられており、近代的なビルディングなどは一切ない。どんなに多くの人が訪れてもウェンゲンは静かさと美しさを保ち続けるのだ。しかし、年に1度熱狂的な興奮に包まれるときがある。そう、伝統のラウバーホルン・レース。毎年1月半ば、冬がもっとも冬らしい表情を見せるこの時期に、アルペンスキーのワールドカップがやってくるのだ。
 

 ウェンゲンのダウンヒルはワールドカップでもっとも長いコースを持ち、ウェンゲンのスラロームはワールドカップでもっとも難しいコースだと言われる。どちらもクラシックコースらしい変化に富み、世界のトップレーサーたちの技をもってしても攻略は至難の業だ。
 

スラロームコースの標高差は190m。以前よりスタートが上がったものの、ワールドカップのなかでは短い部類に入る。しかし、技術的な難度は非常に高く、ここがもっとも難しいスラロームだと多くのトップレーサーが口をそろえる。斜面変化の多さが尋常ではなく、つねに緊張感を強いられるコースなのだ。スタートからしばらくは中斜面だが、やがて左にねじれながら短い急斜面となり、その後はまっ平らの緩斜面。中間付近には36度という凄まじい急斜面がそびえ立ち、その後も斜面は右に左にねじれながらゴールへと続く。しかも急斜面のあとは、1本目と2本目とでコースが異なるのでなおさらやっかいだ。したがって、このコースを攻略するには高度な戦略も必要。勢いだけで乗り切るには、落とし穴が多すぎるのだ。上位には実力者たちが並ぶのが通例で、アウトサイダーが急浮上する余地は少ないコースといえるだろう。

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