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ふたたびの挑戦-石井智也

January 21, 2018

アルペンレースを取材していると、どんなシーズンでも嬉しいニュースと残念なニュースがあります。たとえば昨シーズンならば湯浅直樹(スポーツアルペンSC)の復活という明るい話題がありました。ヴァル・ディゼール(フランス)で4年ぶりの10位以内をとなると、マドンナ・ディ・カンピリオ(イタリア)で8位、シュラドミングで7位と立て続けに入賞。アスペンでのワールドカップ最終戦では第1シードで滑るほどの復活ぶりでした。
しかし、今季はふたたび調子を落とし、これまでのところノーポイントと振るいません。骨挫傷と診断された左膝の状態が思わしくなく、ワールドカップを離れて緊急帰国。1ヵ月後に迫っている平昌五輪に暗雲が立ち込めています。

 

その一方で、大越龍之介(東急リゾートサービス)がウェンゲンのスラロームで19位に入賞という明るいニュースも飛び込んできました。彼にとっては初のワールドカップ・ポイントを獲得し、平昌五輪の代表権獲得に一気に近づいたわけです。仮に五輪チケットを逃したとしても、50番スタートからのワールドカップ19位は、充分に快挙と言ってよいでしょう。
 

そしてもうひとり石井智也(ゴールドウインSC)の活躍も、今シーズンの明るい話題のひとつです。怪我のためにここ数年ナショナルチームとしての強化指定から外れているため、ニュースになることは少ないのですが、彼も又、着実に世界への階段を登っています。

石井は北海道歌志内市の出身です。中学時代までを、多くのトップ選手が輩出した名門ジュニアチーム、かもい岳レーシングで鍛えられ、その後北照高校、東海大へと進学。高校1年時からはナショナルチームに選抜され、多くの海外遠征を経験するジュニア時代を過ごしました。そして2008年、高校3年で出場したジュニア世界選手権でスラローム3位に入賞。日本人としてジュニア世界選手権のメダルを獲得したのは伊藤敦、川口城二に次いで3人目。石井以後はまだ誰も達成していません。このレースで優勝したのは、現在ワールドカップ総合7連覇中のマルセル・ヒルシャー(オーストリア)でその差は1秒15でした。

 

翌年、石井は早くもワールドカップに初出場。20歳でのワールドカップデビューに当時の彼への期待の大きさが表れています。もちろん常時ワールドカップに出場というわけには行きませんでしたが、FISレースやヨーロッパカップのレースを通じて力をたくわえていきました。
その頃の日本チームの中心は皆川賢太郎、佐々木明の両エースを中心に湯浅が続くという強力な布陣。石井は彼らに次ぐ世代として、大きな期待を寄せられていたのです。

 

そんな彼が、なかなか表舞台に立つことができなかった大きな要因は、2度にわたる前十字靭帯断裂の大怪我でしょう。とくに昨シーズン序盤の怪我は、左膝の前十字靭帯と外側側副靱帯の両方を切るという大きなアクシデント。それまで好調だっただけにダメージは大きく、怪我した当初はひどく落ち込んだといいます。それでも必死の思いで闘志を奮い立たせた石井は、リハビリとトレーニングに専念。今季は完全とはいかないまでも、かなりのレベルにまで滑りの感覚を取り戻してレースに出場。ヨーロッパカップとFISレースを舞台に実戦での経験を積んできました。
 

そして、年末に行なわれた全日本スキー選手権のGSで優勝。2本ともベストタイムという見事な勝利でした。これで平昌五輪の代表の座をほぼ決定。ナショナルチーム外からは、ただひとりの選手として晴れ舞台に臨みます。

全日本選手権のGSで優勝。平昌五輪への切符をほぼ手中に収めた


 

彼の特徴のひとつはスラロームとGSの両種目を同じレベルで戦えること。世界を舞台とすると、多くの日本人選手がスラロームに偏らざるを得なかったのとは少し違う立ち位置で石井は戦っているのです。例えば一昨シーズン、彼はヴァル・ディゼールでの技術系2連戦に出場。GSではあと100分の1秒で2本目進出という素晴らしい滑りを見せました。そして翌日今度はスラロームで第2中間計時まで24位で通過。そのまま行けば2本目に進むのは確実でしたが、ゴール前で玉砕という惜しいレースを経験しています。本当にあと一歩。そのシーズンもナショナルチームの指定外だったため、可能性を数字としての結果につなげることはできませんでした。勝負の世界においてタラレバが無意味であることは充分に承知の上でなお、もしあのヴァル・ディゼールの2戦のうち、どちらかでも2本目にクオリファイしてたら、その後の彼はどうなっていただろう? と想像します。それほど、あのときの彼の滑りは素晴らしいものだったからです。

 

 28歳となった石井智也だが、まだまだ発展途上

 

いずれにしても2種目を戦えるということは、彼にとって大きな武器であり財産。とくにGSに対する思いには強いものがあるようです。高校1年生の秋、初めての海外にトレーニングに来た時に観戦したワールドカップGS開幕戦(セルデン)は、佐々木明が初めてGSで2本目に進んだレースでした。幼い頃から佐々木に憧れ、佐々木を目標に歩んできた石井がこのときの佐々木明の姿に強く触発されたことは言うまでもないでしょう。2本合計では24位となったそのレース以来、日本人選手は誰もGSでワールドカップポイントを獲得していません。「明さんの後を継ぐのは自分だ」という強い思いは、今も石井の力の源泉になっているといいます。

 

「どんなレースでも平常心で」 がモットー。メンタルの強さも鍛えられてきた








 

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